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2019.01.18

ストラクチャーから書く小説再入門
個性は「型」にはめればより生きる

ためし読み / K.M. ワイランド

イントロダクション
なぜ、構成は大切なのか?

 

ストーリーの創作で大切なことなのに、書き手が見過ごし、誤解しているものは何でしょう? 本書を手にして頂いた今、答えは「構成(ストラクチャー)[表現上の諸要素を独自の手法で組み立てて作品にすること]」だとご想像頂けるかもしれません。手探りで小説を書き始めた人々の反応は二つに分かれます。「わかって書けたらすごいけど、僕のような素人には無理だな」。あるいは「構成って、型にはめて書くことでしょう? それじゃ個性がなくなっちゃうわ」。

初めは私も「構成? 何、それ?」という状態で小説を書いていました。「キャラクターの相関図やあらすじメモを見ながら原稿を書こう」と思いついて実行しましたが、それでも頭の中はぐちゃぐちゃ。でも、書く前に構成を立てたらつまらない小説になってしまいそう。アイデアが浮かぶ前に物語をパターン化するなんてご免だ、と思っていました。

そして、構成など無視して小説を書きました。なのに、振り返ってみると、物語を頭の中で組み立てながら書いていた。つまり、いやだと口では言いながら、私がしていたことは構成だったのです。以後、私はセオリーに注目するようになりました。構成を練って書く作家もいれば、ひらめくままに名作を書き上げたラッキーな作家もいますが、結果として優れたストーリーができているならば、全てに共通の理論があるはずです。

専門家の中には、まことに複雑な理論を主張する人もいます。ジョン・トゥルービーは名著『The Anatomy of Story』(『ストーリーの解剖学 ハリウッドNo.1スクリプトドクターの脚本講座』フィルムアート社)で二十二個もの要素を挙げています。一方、映画脚本術のバイブルとして名高いシド・フィールド著『Screenplay』(『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』フィルムアート社)は物語を三つに分ける「三幕構成」(脚本家はもとより、小説家にも役立つ本です)。どちらの主張も基本は同じ。ただ、トゥルービーの理論の方が、より細分化されています。

この本では両者の中間をとって、十個の要素を挙げることにしました。ストーリーを十ステップに分解し、書き手も読者も最大限の効果が得られる構成術を提案します。また、シーンや文の作り方もご紹介します。

本題に入る前に、なぜ構成が大事なのか――なぜ、敬遠する必要がないのかを考えてみましょう。

どんな創作にも構成は必要です。

ダンスや絵画、歌など、あらゆる創作は構成の上に成り立っています。小説も同じ。ひらめきを作品化してよいものに仕上げるには、形式上の制約と、最大限の効果を上げる並べ方を知らねばなりません。

構成を立てて書いても独創性は失なわれません。

「型にはめたら個性が出せなくなる」と恐れる書き手は少なくありません。ここまで進んでここで止まる、という枠に合わせたら、誰が書いても同じ本になるんじゃないかと。それは誤解です。構成は作品を形づくるのに必要な枠を与えてくれるだけ。その枠を使って物語が成立するか確認し、自信と確信を持って創作ができるようになります。

 構成は「決めつけ」ではありません。

「型にはめたら誰が何を書いても同じになる」と恐れる書き手もいます。ならば、振付に従って踊るバレエも誰が踊ろうと同じでしょうか? 構成は表現というギフトを収める箱のようなもの。中身も様々ですし、包装で印象を大きく変えることもできます。

構成を見れば、必要事項のチェックができます。

私たちが指南書を読むのは、よいストーリーを書くポイントが知りたいから。構成は、そのポイントをずらりと簡潔に並べたもの。だとしたら重宝しますよね。

構成は創作能力を確かなものにします。

勘を頼りに実践していることが、なぜうまくいくかを再確認すれば理解が深まり、確かな技術として定着します。私は勘を頼りに小説を書いていましたが、構成を意識しながら読み返した時、必要とされる要素がほぼ全部書けていたことに驚いたものです。初めから原理を理解して執筆すれば、確信を持って狙いを定めることができます。

構成はエキサイティング。創作活動をするあなたを支え、はばたかせてくれます。初めての方も、すでに仕組みをご存知の方も、ストーリー構築の極意についての考察をお楽しみ頂ければ幸いです。

 

(このつづきは、本編でお楽しみ下さい)
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ストラクチャーから書く小説再入門
個性は「型」にはめればより生きる
K.M.ワイランド=著 シカ・マッケンジー=訳
発売日:2014年03月24日
四六判|232頁|定価 2,000円+税|ISBN 978-4-8459-1325-1
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