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『最高の映画を書くために
あなたが解決しなくてはならないこと
シド・フィールドの脚本術3』

ためし読み / シド・フィールド, 安藤紘平, 小林美也子, 加藤正人

世界で最も読まれている『シド・フィールドの脚本術』シリーズの最新刊が、7年ぶりに刊行されます。今回はその中から、本書を正しく使うための「訳者まえがき」と、著者による「イントロダクション」全文を公開します。

世界22ヶ国語で翻訳され、全米400以上の学校でテキストとして採用されている 『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』、著者のシド・フィールドが世界中で開催したワークショップをもとに作られた実践書 『素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック シド・フィールドの脚本術2』 を経て、問題解決の方法を学ぶことのできる本書。物語を創作するすべての人、これから書こうと考えている人が、作品を「最高」にするための、道標となる1冊です。

 

訳者まえがき
『最高の映画を書くためにあなたが解決しなくてはならないこと』
有効活用術

 

本書は、映画脚本に限らず、テレビドラマ、演劇、漫画、アニメ、小説……およそ〝物語〞を書くことに行き詰っている人、問題を抱えている人が、問題解決の方法を学ぶための教科書です。教科書として有効活用するためのコツを始めにお伝えしましょう。

 

1:『パルプ・フィクション』『ショーシャンクの空に』『テルマ&ルイーズ』『羊たちの沈黙』『クリムゾン・タイド』は是非観て欲しい

本書の教科書としてのキーワードは〝先人に学ぶ〞です。

過去の作品(劇場公開作品に限らず、彼の受講生の脚本も)を取り上げ、良い点・悪い点、その理由、さらに、悪い点(問題)を修正するための手段・方法……すべてが超・超・超具体的に示されています。なかでもこの五作品は頻繁かつ詳細に取り上げられているので、本書を読み始める前にご覧になることをお勧めします(本書で触れられている作品一覧は巻末にあります)。もちろん、本文中には映画内容の細かな描写・脚本の引用はあります。しかし、シド・フィールド先生いわく、〝脚本は映像で語られる物語〞です。あなたが書く脚本の先には映像があるのです。完成された映像作品を観て、そこから遡り、どのように脚本で表現されていたか、すべきであったかを具体的に学ぶことで、本書の読書体験を何倍にも活かすことができます。

 

2:〝物語〞をこれから書こうと思っている(まだ書いたことがない)方へ

三幕構成、プロットポイント、ピンチ、ミッドポイント、インサイティングインシデント……といった独特の用語が出てきて少々戸惑われるかもしれません。でも、ご安心を。こういった用語については3章・4章に図解入りで解説されてあります。

ただ、どうしても不安、あるいは脚本の書き方を基礎から学んでおきたいとお考えになるならば、本書と平行して『映画を書くためにあなたがしなければならないこと シド・フィールドの脚本術』を手に取られるのも良いかもしれません。

 

3:物語を書き、壁にぶつかり〝脚本家の八方ふさがり〞(第6章参照)に陥っている方へ

あのオリバー・ストーンでも『プラトーン』の企画で挫折しそうになりました(第7章参照)。すぐに本書を読んでいただきたいです。目次を見て今の状態にぴったりと感じた章から、あるいはイントロダクションを飛ばして5章から読み始めても良いかもしれません。

もし、『映画を書くためにあなたがしなければならないこと シド・フィールドの脚本術』または『素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック シド・フィールドの脚本術2』を読まれたのであれば、ちょっとした復習もかねることになります。ですが、シド・フィールド先生曰く「なぜか私たちはいつも忘れてしまうので、私は繰り返し述べている」のです。

 

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イントロダクション
〝脚本の問題点をなんとかしたい〞それが脚本家の願い

 

私がこの本を書くことにしたのは、脚本家が様々な〝問題を認識し、明確にする〞ためのツールを見つけたいと思ったからだ。

いかなる問題も、解決するためには、それを認識して、識別し、明確にする必要がある。でなければ、どんな問題も解決できない。にもかかわらず、ほとんどの脚本家は〝何が〞問題か正確にはわかっていない。

プロットが細すぎる、太すぎる、キャラクターが強すぎる、弱すぎる、アクションが十分ではない、キャラクターの存在感がない、ストーリーがすべて台詞で語られている……、何かがうまくいってないという漠然とした感じはするけれども、具体的にはわからない。

そこで私は問題解決プロセスの分析を始めた。私がこの本で伝えたい唯一のことは、問題のさまざまな症状を認識し明確にすることだ。医師が病気を治療する前に患者のさまざまな症状を特定するのと似ている。

この観点から問題解決のプロセスに近づくと、症状は一つだけでなく、いくつもあることに気づきはじめた。脚本の問題の多くは同じ症状を共有するものの、問題自体は異なる。それは、問題の文脈を分析することで区別できる。

そしてその区別こそが、われわれが問題を認識し明確にして、解決に導く道だ。

 

問題をどう捉えるかには二つある。

まず、問題とは何かがうまくいってないことだという事実を単に受け入れてしまうことだ。つまり、そのことにふたをして、見て見ぬふりをしてしまうことで、とても簡単なことだ。

しかし、別のアプローチもある。いかなる創造的な問題もチャレンジ、脚本スキルを磨くチャンスと捉えることだ。これらは正にコインの表と裏で、どちらと見るかはあなた次第だ。

 

〝世界はあなたが見ている通りだ〞

 

(ぜひ本編も併せてお楽しみ下さい)
※掲載しているすべてのコンテンツの無断複写・転載を禁じます。

『最高の映画を書くためにあなたが解決しなくてはならないこと
シド・フィールドの脚本術3』

シド・フィールド=著|安藤紘平+小林美也子+加藤正人=訳

発売日:2019年11月26日

A5判・並製|368頁|本体:2,500円+税|ISBN 978-4-8459-1916-1


プロフィール
シド・フィールドSyd Field

国際的評価を得る脚本家。ジャン・ルノワール、サム・ペキンパーらに師事。プロデューサー、教師、ベストセラー作家。『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』(原題:SCREENPLAY)は22ヵ国語に翻訳され、全米 400以上の学校でテキストとして使用。彼の関係した映画は『ゴッドファーザー』『アリスの恋』『アメリカン・グラフィティ』など。門下生には、ジェームズ・キャメロン、テッド・タリー、キュアロン兄弟など、ハリウッドを代表する錚々たる映画人が名を連ねる。20世紀フォックス、ディズニー・スタジオ、ユニヴァーサル・ピクチャーズ、トリスター・ピクチャーズほかの脚本コンサルタントを歴任。全米脚本家協会で初の名誉の殿堂入りを果たした。2013年死去。

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プロフィール
安藤紘平あんどう・こうへい

映画監督、早稲田大学名誉教授
繊細で独創的な表現力で知られる映像作家。ハイビジョンを使っての作品制作では世界的な先駆者。ハワイ国際映画祭銀賞、モントルー国際映画祭グランプリなど数多く受賞。パリ、ニューヨーク、LA、東京、などの美術館に作品収蔵。2001年、2005年パリにて安藤紘平回顧展。2018年『日仏友好160周年ジャポニズム2018』プログラミング。東京国際映画祭プログラミングアドバイザー、北京電影学院客員教授、日本映画監督協会国際委員

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プロフィール
小林美也子こばやし・みやこ

プロデューサー、ライター
立命館大学法学部在学中にMartha Graham Dance school(N.Y.)へ留学。帰国後、日中合作映画『禅武合一/少林功夫』、『今日子と修一の場合』、『ロマンス・ロード』、『恋とさよならとハワイ』等プロデュース。訳書に『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』(共訳)、『素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック』(監修)(フィルムアート社)。近年は林海象演出舞台のスーパーバイサー担当。

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プロフィール
加藤正人かとう・まさと

脚本家
人の想いの細やかな描写に定評がある脚本家。1999年『水の中の八月』モンス国際映画祭最優秀脚本賞、2001年『女学生の友』第4回菊島隆三賞、2007年『雪に願うこと』毎日映画コンクール最優秀脚本賞、2009年『クライマーズ・ハイ』、2011年『孤高のメス』、2014年『ふしぎな岬の物語』で、それぞれ日本アカデミー賞優秀脚本賞。その他、2006年『日本沈没』、2012年『天地明察』、2016年『エヴェレスト 神々の山嶺』、2017年『彼女の人生は間違いじゃない』、2019年『凪待ち』などを執筆。

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