『E.T.』とリーシーズ プロデューサーが明かす映画とマーケティングの“甘い”関係 | かみのたね
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2020.09.30

『E.T.』とリーシーズ プロデューサーが明かす映画とマーケティングの“甘い”関係

ハリウッドの名匠たちが語る映画制作の裏側 / シカ・マッケンジー, リンダ・シーガー

映画には監督や俳優だけでなく、脚本家、プロデューサー、美術監督、撮影監督、メイクアップ・アーティスト、エディター、VFXアーティスト、作曲家……など、数え切れないほどのスタッフが関わり、1つの作品を作り上げています。本シリーズ「ハリウッドの名匠たちが語る映画制作の裏側」では、彼らが日ごろ何を考え、どう働いているのかをあらゆる角度から迫っていきます。今回は、作品をどう売り込み、誰に観てほしいかを考えるプロデューサーの仕事を紹介します。

 

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マーケティングをする

 

映画が完成したら公開スケジュールを組みます。低予算映画なら、上映会に関係者や配給会社を招き、映画祭にも出品するでしょう。映画祭での上映や受賞で知名度を上げていくのです。制作者は多くの映画祭に自費で出品し、配給会社にアピールをして収益獲得を目指します。

大きな予算をかけた映画では、スタジオが配給をおこないます。スタジオにどれだけ支援してもらえるかは、公開初日の週末用に確保されるスクリーンの数に表れます。ブロックバスター(※興行的に大きな成功を収める作品)とみなされる映画なら2,000以上のスクリーンが確保されるでしょう。その他の映画は10ヶ所程度の映画館での上映にとどまるかもしれません。プロデューサーは観客の反応を待つ一方、かなり正確な読みをしています。それでも予想外のヒットや大コケは常にあるものです。

キャスリーン・ケネディ(『E.T.』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『A.I.』『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』)もその体験を語っています。

『E.T.』は子ども向けの映画だとマーケティングの人々に言われて、初めは600館程度でしか公開してもらえませんでした。しかし、地方の映画館などで上映が始まると問い合わせが殺到し、上映館が増えました。最初の決定の大部分はスタジオの裁量にかかっています。全国レベルの詳しい市場調査の結果を元に決まるのです。

E.T.: The Extra-Terrestrial Official Trailer #1 – Steven Spielberg Movie (1982) HD

 

エドワード・S・フェルドマン(『セイブ・ザ・タイガー』『ホットドッグ』(1984)『刑事ジョン・ブック 目撃者』『101』)はこう述べています。

マーケティングの経験から言うと、希望を感じさせる映画なら何でも制作できるし、売れる。特に、ハッピーエンドの映画は売れますよ!

 

 

多方面から収益を上げる

 

現代ではマルチメディアが発展し、映画は国内外のチケット販売以外でも収益が得られるようになりました。テレビやケーブル放送、ホームビデオ、DVD、オンデマンド配信、ストリーミング配信、キャラクター商品の販売など、収入源は多岐にわたります。また、年々増加しているのがスクリーンに特定のブランド名を出す「プロダクト・プレイスメント」で、低予算映画の資金獲得に活路を開いています。ブランド側にとっても役立つことは言うまでもありません。1982年の映画『E.T.』では子どもたちがリーシーズのチョコレートを食べています。なぜなら、別の製菓会社マースが自社製品エムアンドエムズの使用を断ったからです。ウィキペディアによると、映画の成功でハーシー社のリーシーズチョコの売り上げが300パーセント増えたそうです。

Reese’s Pieces – E.T. (2002, USA)

 

キャラクターグッズなどの商品化はまた別の話です。『E.T.』から『ジュラシック・パーク』、『A.I.』から『スター・ウォーズ』に至るまで、キャスリーン・ケネディが携わった映画はほぼすべて、大量のライセンス契約が発生しています。

契約の数は映画によって、また、映画が何に影響を与えるかによって異なります。『ジュラシック・パーク』のような映画では膨大な数のライセンス契約や販促の契約交渉が発生します。映画の販促用のデザインを、多くの販促キャンペーンに導入するからです。

この過程について、彼女はこう言っています。

早い段階でロゴを決定します。昨今のマーケティングはとてもこまかく、複雑なので、しっかりと統一しなくてはなりません。どのイメージを選ぶかで映画の印象が決まります。映画が公開されるよりもずっと前に設定して進めます。

 

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プロデューサーの仕事は、コンセプトの立案から商品のライセンス契約に至るまで、あらゆる役割を担います。映画制作の最初から最後までスタッフとコラボレートし続ける大きな存在となっています。2020年7月25日に発売された『ハリウッド式映画制作の流儀 最後のコラボレーター=観客に届くまで』(リンダ・シーガー=著、シカ・マッケンジー=訳)では、映画に携わる様々なスタッフがどう関わり、どのように作品がつくられていくかの過程を知ることができます。様々なプロデューサーの逸話も多数収録。ぜひ併せてお読みください。

 

☆明日は「売れっ子俳優たちはどうやって出演作を選んでいるのか」をお伝えします!

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ハリウッド式映画制作の流儀 最後のコラボレーター=観客に届くまで

リンダ・シーガー=著|シカ・マッケンジー=訳

2020年7月25日

A5判・並製|344頁|定価:2,200円+税|ISBN 978-4-8459-2001-3