メリル・ストリープ、ロビン・ウィリアムズ、オクタヴィア・スペンサー……売れっ子俳優たちはどうやって出演作を選んでいるのか | かみのたね
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2020.10.01

メリル・ストリープ、ロビン・ウィリアムズ、オクタヴィア・スペンサー……売れっ子俳優たちはどうやって出演作を選んでいるのか

ハリウッドの名匠たちが語る映画制作の裏側 / シカ・マッケンジー, リンダ・シーガー

映画には監督や俳優だけでなく、脚本家、プロデューサー、美術監督、撮影監督、メイクアップ・アーティスト、エディター、VFXアーティスト、作曲家……など、数え切れないほどのスタッフが関わり、1つの作品を作り上げています。本シリーズ「ハリウッドの名匠たちが語る映画制作の裏側」では、彼らが日ごろ何を考え、どう働いているのかをあらゆる角度から迫っていきます。今回は、スター俳優たちが日々大量にくるオファーを、どのような基準で選んでいるのかについて紹介していきます。

 

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出演する作品を選ぶ

 

トップクラスの監督やプロデューサーと同様に、売れっ子の俳優たちにもオファーが殺到します。ですから、出演する作品を選ばなくてはなりません。その際、まず脚本を読むのは彼らも同じ。ロビン・ウィリアムズは『いまを生きる』の脚本に惚れ込んだと語ります。

とてもパワフルだったよ。教師であるキーティングの役柄に精神性と知性を感じた。気高さや尊厳、クリエイティブな力強さもあった。自分にとても近いけれど得難い、貴重なものばかりだ。

 

Dead Poets Society (1989) Trailer #1 | Movieclips Classic Trailers

 

ピーター・ストラウス(『ソルジャー・ブルー』『ラスト・タイクーン』(1976年)『炎の砦マサダ』)はある種の心構えが必要だと感じています。

いつも、わくわくしながら脚本を読むように心がけているよ。静かな場所を見つけて脚本を開き、3つの要素が読み取れるか確かめる。まず、真実。コメディかシリアスか、どんな人種が出てくるか、ジャンルは何か、といったことは気にしない。真実が描かれているかを探す。洞察や深みがあるか、隠された何かを果敢に暴いているか――僕は大胆な脚本家が好きなんだ。次に、魔法のような魅力。なぜこの映画を撮るのか? きらめいているか? 別世界にいるような気持ちにさせる脚本がいい。映画館の暗闇が見せる魔法だ。最後に、僕にとって日々の撮影がチャレンジになるか。現実をそのままやるんじゃなくて、超越したい。情熱や躍動感、憎悪や怒り、恐怖や痛みや喜び、壮大さがあるか。僕は大きく感じたい。激しく怒りたいし、深く悲しみたい。

 

面白い作品に多数出演しているジョン・リスゴーも、脚本選びについて語っています。『オール・ザット・ジャズ』や『ガープの世界』、『愛と追憶の日々』といった映画やテレビドラマ『3rd Rock From the Sun(未)』などに出演してきた彼ですが、はっきりした条件を決めて選択をしていることがわかります。

引き込まれるようなストーリーと、旅路を歩む人物があるといいね。出来事によって人物が影響を受けて変わっていく物語。人物が新しい面を見せて、びっくりさせるようなところも必要だ。僕が演じてみたくなるようなしゃべり方や外見、アクセントなどの意外性もほしいな。

 

出演オファーを受けた時、グラハム・グリーンは独自の手順で脚本をチェックします。彼は『ダンス・ウィズ・ウルブズ』でダンバー中尉と親しくなるスー族インディアンの役で知られ、近年『ウインド・リバー』や『アメイジング・ジャーニー 神の小屋より』に出演しています。

自分の役が出ているページをすべて抜き出し、それらを読んで、うまく流れているかを見ます。それから残りのページを読み、流れが合うかを確認します。僕が読んで理解できなければ、きっと観客も理解できないでしょう。

 

多くの俳優にとってはストーリーや人物よりも、テーマと脚本の価値の方に関心があるようです。しかし、自分に合う役が見つかりにくい場合もあるでしょう。実際に、より好みするほど選択肢の幅は広くない、とメリル・ストリープ(『ディア・ハンター』『クレイマー、クレイマー』『ソフィーの選択』)は言っています。

役柄の幅なんてないわ。「なぜこの役を選びましたか? どこに惹かれましたか?」とインタビューで尋ねられても、何か言えたためしがないもの。女優には色とりどりの役がいつだって用意されていて、青やオレンジ、赤、緑、イエロー、暗い赤、朱色――そして私はオリーブ色を選んだわ、なんて……あり得ない。私はいい脚本に惹かれるの。議論やドラマ、感覚や感情がたくさんある主人公を演じたい。自ら行動を起こす人物よ。誰かの恋人役ではなくて、主体性のある主役を演じたい。

 なぜなら私は偉大な女性スターを見て育ったから。ベティ・デイヴィスやバーバラ・スタンウィック、キャロル・ロンバードやルシル・ボール、キャサリン・ヘップバーン、グレタ・ガルボ……他にもたくさんいる。彼女たちの素晴らしい作品を心の糧にしてきたの。(※1)

The Devil Wears Prada (2006) Trailer #1 | Movieclips Classic Trailers

 

オクタヴィア・スペンサー(『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』『ドリーム』『シェイプ・オブ・ウォーター』)も中身が濃い女性キャラクターを探します。

パワフルな女性キャラクターとは、逆境に置かれても自分の意見が言える人物です。自分が何者かを知っていて、周囲の男性に何を言われても自分の思いを貫く人物です。(※2)

 

彼女はまた、映画にリアリティをもたらすために、多様性が必要だとも感じています。

多様性と言ってもアフリカ系アメリカ人やラテン系、アジア系、太った俳優や身体に障害がある俳優だけとは限りません。あらゆる年齢層の俳優が必要。注目されることが少ない人々にも目を向けるべきです。(※3)

Hidden Figures | Teaser Trailer [HD] | 20th Century FOX

 

*1 “Spotlight: When Women Were in the Movies,” Screen Actor, Fall, 1990, 15–17.
*2 Guy Lodge, “Octavia Spencer on ‘Hidden Figures,’ Diversity in Hollywood and a Post-Election Call to Action,” Variety, November 21, 2016.
*3 Anthony D’Alessandro, “Octavia Spencer on Swimming in Guillermo del Toro’s ‘Shape of Water’ and What Diversity Means in Hollywood,” Deadline Hollywood, December 7, 2017.

 

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2020年7月25日に発売された『ハリウッド式映画制作の流儀 最後のコラボレーター=観客に届くまで』(リンダ・シーガー=著、シカ・マッケンジー=訳)では、映画に携わる様々なスタッフがどう関わり、どのように作品がつくられていくかの過程を知ることができます。本章では、俳優がいかにして役作りをしていくのかの過程や、『ビューティフル・マインド』のラッセル・クロウ&ジェニファー・コネリーのインタビューなども収録されています。ぜひ併せてお読みください。

 

☆明日は「ラブシーンやベットシーンを演じる上での心構え」をお伝えします!

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ハリウッド式映画制作の流儀 最後のコラボレーター=観客に届くまで

リンダ・シーガー=著|シカ・マッケンジー=訳

2020年7月25日

A5判・並製|344頁|定価:2,200円+税|ISBN 978-4-8459-2001-3