3月26日(金)発売予定『イラストで学ぶジェンダーのはなし』。前回の記事では、本書の見どころなどをご紹介しました。今回は76もの項目の中から、その一部を特別に公開します!
イラストで学ぶジェンダーのはなし
みんなと自分を理解するためのガイドブック
原題:Seeing Gender: An Illustrated Guide to Identity and Expression
イラストで学ぶジェンダーのはなし
みんなと自分を理解するためのガイドブック
アイリス・ゴットリーブ=イラスト・文
野中モモ=訳
発売日:2021年3月26日
A5判・並製|210頁|定価:2,000円+税|ISBN 978-4-8459-2022-8
※その他、書店店頭などでもご注文可能です
組み合わせは無限
セクシュアリティ、ジェンダー、性表現(服装や社会的ふるまい、態度などによって表現されるジェンダー)、セックス、恋愛的指向の組み合わせは無限に存在しています。しかもそれらは流動的で、自由に変化することがあり得るものなのです。自分はどれに当てはまるかを考えることも大切ですし、画一的な「こうあるべきだ」という色眼鏡で他の人を見ていないかを確認することも大事です。
この人に注目:デヴィッド・ボウイ(1947-2016)
本書では世界に大きな影響をもたらした人々の逸話なども取り上げています。その中のひとり、デヴィッド・ボウイは音楽的な業績はもちろん、その独特のメイクやファッションは後世に多大な影響を残しました。 特定の性的指向に縛られることなく、「男らしさ」の型を完全に壊したスーパースターです。
動物たちの同性愛行動
人間だけでなく、同性愛行動は多くの他の動物にもみられています。 コクチョウ、トンボ、象、コウモリ、ハイエナ、ペンギン、牛、キリン、イルカ……etc. 類人猿のボノボはオス・メス両方との非生殖セックスを行うバイセクシュアルで、雄羊の1割は他のオスとだけ交尾しています。本書ではほかにもナメクジやコウイカ、ライオンなどにおける「性」について、それぞれ項目を割いて取り上げています。
ピンク税
女性は身だしなみ商品代を男性より13%、衣類代を8%多く支払っており、女児向けおもちゃの値段は男児向けより7%高く、女児向け衣類の値段は男児より4%高いそう。本書ではほかにも、男女間のマーケティングの差やスポーツにおけるハードルの男女の違い、男女における「脳の重さ」にまつわる神話などにも言及しています。
1ヶ月に5人と寝る女
社会曰く:彼女はあばずれ
1ヶ月に5人と寝る男
社会曰く:彼はモテ男
必ずしも自分ごとではないとしても、ハッとさせられる指摘ではないでしょうか。性別に固定された恋愛観の尺度はもう放り投げて、自分にとって大切な物事は自分自身でしっかりと見定めましょう。
手術日記
ここに生きている体を悼む
本書には著者の乳房切除手術にまつわる経験談も記されています。当事者だからわかること、そのあいだに考えてきたことを知ることができます。ちなみに著者のアイリスは、世界的人気を誇るワン・ダイレクションのメンバー、ハリー・スタイルズに出会うことで、自身のジェンダー、 セクシュアリティ、体、ファッション観を変えていく決心が得られたと述べています。
以上です。残りのページはぜひ店頭で手にとったり、お買い上げいただいてご確認いただければ幸いです!発売日は2021年3月26日(金)。これからの時代を生きるすべての方必読の内容になっています。ぜひお楽しみに!
《 内容紹介 》
ジェンダーの複雑さに向き合うために
これからの時代の「当たり前」を身につけるための
新しいガイドブック!
本書はクィア作家でアーティスト、そしてノンバイナリー(自分を男女どちらの性別にも分類されないとする考え)を自認する著者が、歴史、科学、社会学や実体験を交えながら、ジェンダーにかかわる様々なトピックについてやさしく解説しています。
ジェンダーをめぐる基本用語集とその解説、歴史的な出来事や事件、デヴィッド・ボウイやセリーナ・ウィリアムズといった世界に大きな影響をもたらした人々の逸話、人間以外の動物における「性」のはなし、さらには著者自身による乳房切除手術の経験談まで、76項目すべてに理解を助けるポップでカラフルなイラストがついています。
また、本書にはドラマ『女子的生活』の出演・演技指導や映画『ミッドナイトスワン』脚本監修でも話題となった俳優の西原さつきさんが推薦のコメントを寄せています。
あらゆる人や国の不平等をなくすことが国際目標としても定められているこれからの時代、私たちがぜったいに知っておかなければならない知識がたくさん詰まっています。
毎日のように変化を続けるジェンダーと世界との関係を学び、自分がどう生きたいかについて真剣に向き合うことができる、これまでにない1冊となっています。
《 推薦コメント 》
いつかもし、私が子どもを授かれたら、一緒に読んでみたいと思います。
西原さつき(俳優/ドラマ『女子的生活』出演・演技指導/映画『ミッドナイトスワン』脚本監修)
《 本書で扱う項目 》
ジェンダーにまつわる用語・入門編/ジェンダー・アイデンティティ/ジェンダー・ディスフォリア(性別違和)/ジェンダー・エクスプレッション(ジェンダー表現/性表現)/ジェンダー・アイデンティティ、セクシュアリティ、性的指向の違い/アセクシュアリティ/動物たちの同性愛行動/身体的な性/ジェンダーの解剖学/インターセックス/ナメクジの性/べからず・べし/LGBTQ+って実際どういう意味?/ジェンダー・ロール(性役割)/インターセクショナリティ/同化教育制度/第3のジェンダーと第4のジェンダー/シェイクスピア/コウイカ/脳みその重さにまつわる神話/STEM(science, technology, engineering, and math /科学、技術、工学、数学)の女性たち/1800年代の服装/ルイ14世とハイヒール/男の子は男の子――いかに有害な男らしさが男性集団をかたちづくっているか/家父長制/ライオン/スポーツ/ホワイト・フェミニズム/黒人少年が黒人男性になる時(黒人男性に対する警察の暴力、不当に投獄される黒人男性たち)/性的暴行、#metoo、ジェンダー化された暴力/摂食障害は誰でもなる病気/中絶について/医療のバイアス/ジェンダーと精神疾患/トランス・コミュニティにおけるメンタルヘルス/特権について 初級編/平等性≠公平性/ピンク税/貧困の女性化/静かなる南部の流行病/公共施設のプライバシーと安全法/「セックスワーク」はよくない言葉ではない/ストーンウォールの反乱/LGBTQ+は一枚岩ではない/カミングアウト運動の危険性/広告/リベット工員のロージー神話/ベクダル・テスト……etc.
《 本書で取り上げる人々 》
デヴィッド・ボウイ/プリンス/フリーダ・カーロ/ココ・シャネル/アノーニ/セリーナ・ウィリアムズ/マーシャ・P・ジョンソン/ラヴァーン・コックス/アニタ・ヒルとクリスティン・ブレイジー・フォード/サパティスタ/ハンナ・ギャズビー/フランク・オーシャン……etc.
《 目次 》
この本について メレディス・タルサン
まえがき
パート1:まずはここから
パート2:さらに深掘り
パート3:わたしの話
あとがき:学びは決して終わらない
参考資料
索引
謝辞
著者について
《 プロフィール 》
[イラスト・文]アイリス・ゴットリーブ(Iris Gottlieb)
イラストレーター兼作家。著書に Seeing Science: An Illustrated Guide to the Wonders of the Universe、Natural Attraction: A Field Guide to Friends, Frenemies, and Other Symbiotic Animal Relationships がある。好きな食べものはすいか。いちばん怖いものは内部寄生虫。犬のバニーと一緒にノースキャロライナ州ダーラム在住。
[訳]野中モモ(のなか・もも)
東京生まれ。編集職を経てロンドン大学ゴールドスミス校で美術史を学ぶ。東京を拠点に文筆および翻訳業(英日)に従事。訳書にレイチェル・イグノトフスキー『世界を変えた50人の女性科学者たち』(創元社)、ロクサーヌ・ゲイ『飢える私 ままならない心と体』(亜紀書房)など。著書『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』(筑摩書房)、『野中モモの「ZINE」小さな私のメディアを作る』(晶文社)。
イラストで学ぶジェンダーのはなし
みんなと自分を理解するためのガイドブック
アイリス・ゴットリーブ=イラスト・文
野中モモ=訳
発売日:2021年3月26日
A5判・並製|210頁|定価:2,000円+税|ISBN 978-4-8459-2022-8