フィルムアート社の中の人が2021年11月に刊行された映画関連書籍の中から気になる映画本をピックアップして紹介します。
(毎月上旬更新予定)
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フィルムアート社の中の人が2021年11月に刊行された映画関連書籍の中から気になる映画本をピックアップして紹介します。
(毎月上旬更新予定)
価格 2,530円(本体2,300円+税)
発行年月 2021年11月
判型 A5
ISBN 9784771035539
ジェンダーやセクシュアリティの規範性やカテゴリーの境界線を問い直す概念としての「クィア」は、LGBTブームのはるか以前から、映画文化を通じて日本に流入し、その地平を広げてきた。
作品や表象のなかで、不可視化され、無視され、隠蔽されてきたものは何か。それらを「クィアなもの」としていかに再発見できるか。
あつかう地域や新旧問わず、幅広い作品を様々な方法論で論じた本書は、クィアとシネマをめぐる思考と実践のアーカイヴである。
(出版社HPより)
価格 2,860円(本体2,600円+税)
発行年月 2021年11月
判型 四六判
ISBN 9784791774296
全世界アニメーション批評大系
アニメーションにとって2010年代こそ新世紀の始まりだった。日本のアニメーションはさらなる進化を遂げ、世界のインディペンデントは孤高に突き進む、エクスペリメンタルは国境を問わず、映画館を飛び出し、動画サイトや配信プラットフォームを日々賑わせている。決定的な革命の時代に作家はなにを考えていたのか。世界のアニメーション映画祭をめぐり、その目利きによって自ら配給をも手がける批評家の集大成。全世界のアニメーションがここにある。
(出版社HPより)
価格 7,920円(本体7,200円+税)
発行年月 2021年11月
判型 A5
ISBN 9784622090540
イメージが動くとは。
「アトラクションの映画」の概念で、映画という枠組みを超え映像文化研究に大きなインパクトをもたらした初期映画研究・メディア史研究の泰斗ガニング。その思考はさらに深化して、鮮やかな〈動き〉の視覚文化論を展開し、写真・映画・アニメーションにわたる映像文化圏全体を見晴らす。
映画や写真は長い間、インデックス性を本質とするものとして捉えられてきた。ベンヤミン、バザン、バルト。対して、映像技術のデジタル化した今日、「映画はアニメーションの一ジャンル」とマノヴィッチは大胆な命題を提起した。ガニングはこの衝撃を正面から受けとめつつ反論する。問題は、写真的なリアリティか加工可能なグラフィックかの二項対立ではないのだ。
驚くべき該博な知識に基づき、膨大な論考を精力的に執筆し続けているが、ガニングにはこれまでまとまった論文集がなかった。このたび日本語版独自編集で、英語圏にもまだない初の一書が生まれる。2000年代以降発表されたおよそ100にものぼる中から精選。図版多数。
(出版社HPより)
価格 3,960円(本体3,600円+税)
発行年月 2021年11月
判型 四六判
ISBN 9784622090502
「今日私は、自分へのこんな問いかけから始めようと思います。私はなぜ映画を撮れるようになったのか? さらには、いかなる能力と確信をもって、自分がこれでよい、あるいは好きだと思える映画を撮れるようになったのか?」(第1講より)
1980年に『ステキな彼女』で初監督を務めて以来、『風櫃の少年』『冬冬の夏休み』『童年往事』『恋恋風塵』『悲情城市』『戯夢人生』などの映画を世に出して台湾ニューシネマの興隆を牽引し、世界的にも台湾を代表する映画監督として知られる侯孝賢。本書は侯孝賢が2007年に香港バプテスト大学で行った講義の記録である。
初期作品の下地ともなった自身の生い立ちや家族における故郷喪失の影響に始まり、映画人としての来歴、ともに一時代を築いたエドワード・ヤンや朱天文、制作陣や役者たちとのエピソード、作品ごとの制作秘話、さらにはその人生観と映画作りとの関わりまで、侯孝賢の世界が存分に語られる。
映画制作を学ぶ学生に向けた講義でありながら、侯孝賢を形づくる物事や人間の生へのまなざしまでもが窺える、侯孝賢理解のための必読書。巻末には、『好男好女』『憂鬱な楽園』『フラワーズ・オブ・シャンハイ』で製作を手がけた映画プロデューサー・市山尚三による解題を収録。
(出版社HPより)
価格 2,090円(本体1,900円+税)
発行年月 2021年11月
判型 四六判
ISBN 9784620327105
戦後最大の出版人、その魂の軌跡。風雲児は詩人にして悪党。本と映画と音楽の融合、父との闘争と和解、価値破壊と文化創造…破格の構想力によって、「出版」は「事件」となった。幾多の受難から立ち上がった角川春樹、新たな闘争が始まる。
序章 敗れざる者
第1章 少年時代(~二十二歳)
第2章 編集者時代(二十二~三十三歳)
第3章 映画プロデューサー時代(三十四歳~)
第4章 俳人と映画監督の間(四十歳~)
第5章 収監そして復帰へ(五十一~六十二歳)
第6章 最後の監督作品
終章 それでも敗れざる者
(出版社HPより)
価格 2,750円(本体2,500円+税)
発行年月 2021年11月
判型 B6
ISBN 9784779516061
作り手たちは何をみつめ、社会をどう変えてきたのか。映像制作者たちの努力と、四〇年続く映像祭の軌跡を審査員や関係者の声から振り返り、作品と映像祭の可能性と未来を展望する。
第一部では作品群が何を伝え、何と闘い、そして世の中の何を変え、変えようとしてきたのかを制作者自らが考察。第二部では、映像祭がどんな理念や展望、夢を持って誕生し、先人たちがどのような知恵と努力でこの映像祭を続けてきたのか、また、放送局、ケーブルテレビ局、自治体、市民、学生、高校生といった制作者たちの情報交換・交流の広場としてこの映像祭が果たしてきた役割や大学・高校教育との連携などを考える。
(出版社HPより)
価格 3,740円(本体3,400円+税)
発行年月 2021年12月
判型 四六判
ISBN 9784861828751
銀幕を包んだ闇を抜け出し、映画の新たな「配給網」となったレンタルビデオ店。その創世から終幕、そして「配信」の現在へとつづくアメリカ映画のもうひとつの歴史。
いまやレンタルビデオ店はアメリカ人の暮らしからは既に遠くなったけれど、願わくば本書『ビデオランド』が、かつての生き生きとした社会生活のなにものかを伝え、とりわけ日本の読者諸賢にとっても、遠いどこかの話ではなく、いまや消え去ろうとしている文化になんらかの親しさや近しさを感じてもらえるようなものでありますようにと思う。……ビデオストアはありふれた、つかのまの、記憶されることさえないふるまいとやりとりに溢れた何の変哲もない場だった。けれどそういうものはえてして、消え去って初めて気づくものだと、そんなふうにつくづく思うのである。(「日本語版への序文」より)