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2023.07.05

「オープンな場所ではうまく集中できない」

ためし読み / イサベル・シェーヴァル, 久山葉子

スウェーデンの脳科学者イサベル・シェーヴァルの『デザインフルネス 脳科学でわかる心地よい生活環境のつくり方』が刊行された。「デザイン×脳科学」という切り口から、「心地よい生活環境のつくり方」を学べる実践的な内容となっている。

今回は本書「第7章 集中力」より「オープンな場所ではうまく集中できない」をためし読みとして無料公開する。

 

オープンな場所ではうまく集中できない

 

集中できるかどうかは重要です。しかし残念ながら、今は多くの人が集中力に問題を感じていて、それがイライラやストレスにつながることが多く、長期的には病気になることもあります。私たちの脳は襲いくるすべての情報を処理するのには適していないのに、デジタル技術の発展により常にインターネットに接続されていて、連絡がつかなければいけない状態です。だからこそ、集中するためにはどんな条件や環境が必要なのかを知っておくこと。それがますます重要になってきます。具体的には人によって違いますが、基本は同じです。

残念ながら、あらかじめ決まっている条件に自分を合わせなければいけないことのほうが多いでしょう。オープンなオフィス環境で働かなければいけない人もいます。オープンな空間は周りが良く見えるというメリットはありますが、集中に適した環境ではありません。オープンな場所には集中力を阻害する要素がいくらでもあります。たとえば視覚的な邪魔、中断させられるリスク、そして騒々しい音環境。壁という物理的な障壁がないため、ひっきりなしに同僚が何をやっているかが見えて聞こえてしまうし、同僚にも気軽に話しかけてしまうでしょう。研究によると、このタイプのオープンな環境は生産性や集中力を高めるものではなく、まったく逆だということが示されています。集中できないのも無理はありません。

 

※掲載しているすべてのコンテンツの無断複写・転載を禁じます。

デザインフルネス 脳科学でわかる心地よい生活環境のつくり方

イサベル・シェーヴァル=著 久山葉子=訳

発売日:2023年06月24日


  • A5判変型・並製|2C|200頁|本体:2,400円+税|ISBN 978-4-8459-2121-8