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2017.10.22

僕たちはこうやって映画をつくる 第1回

僕たちはこうやって映画をつくる / 三浦崇志

2007年以来、大阪を拠点に自主制作ながらコンスタントに作品を撮り続けている、日本では珍しい二人組の映画監督がいる。三浦崇志と大力拓哉。海外映画祭でも賞賛を浴びた彼らの代表作『ニコトコ島』と『石と歌とペタ』が、2017年10月14日からイメージフォーラムで日替りにて劇場初公開されることになった。自身たちの映画作りの原点やその制作過程、そして初の一般公開に至るまでの道のりについて、監督のひとり三浦崇志がゆるやかに言葉を綴る。(全3回)

 

カメラと三脚と友達と少しのお金

15年くらい映画制作をしてきて初めて劇場公開することになりました。
2008年制作の『ニコトコ島』と2012年制作の『石と歌とペタ』の2作品。

好き放題好き勝手どんどん作ってきました。
というのもスタッフも役者も最低限の機材で映画を作るので資金集めしないで映画を作れます。
カメラと三脚と友達と少しのお金。

申し遅れました三浦崇志といいます。幼馴染の大力拓哉と一緒に二人組の映画監督として活動しています。
二人組の映画監督というのは結構珍しいようで、「なぜ二人で」とよく聞かれます。

先ほども書きましたが大力拓哉とは小学校からの友達でよく遊んでいました。

僕が映画を好きになるきっかけは、中学校の時に大力に「今日の夜にやる『パピヨン』って映画めちゃおもろいで」と言われ、その日家に帰って新聞のテレビ欄を見ると夜中の2時すぎから放送とありました。
眠たい目をこすりながら今か今かと待っていましたが、はじまったら150分あっという間。スタッフロールが流れる頃には外は明るくなっていてチュンチュン鳥の鳴く声。なんか映画を見たというより凄い体験をしたという感覚。そのまま眠れず学校へ。大力に「見た見たパピヨン?」って聞いたら見てなかった。ぎゃふん。

大力は前に見ていたので見てなかったのです。

それまでジャッキー・チェンの映画やポリス・アカデミーくらいしか見てなかった僕はそれ以降映画の沼にハマりました。

高校に入る頃には音楽や本や映画をたくさん聴いたり見たりするようになり、遊びの幅も広がり、大力と一緒にパンクバンドをしたりビデオカメラで撮影したりするようになりました。

その頃はその日一日撮影してその日の最後に見て笑って終わりというようなもので、一本の映画として完成させるわけではなく、その日一日楽しければイイ、くらいのものでした。

正直今でもそんなに変わっているわけではないので、その遊びの延長といえるかもしれません。

映画を観るだけではなく自分達で作ろうとしたのはどうしたことでしょう。
たぶん楽しそうに見えて羨ましかったんだろうと思います。

映画も沢山見ていました。
ネットもなかったので人に聞いたり映画館でチラシを見たり。
そんな中で見た『鉄男』やヤン・シュワンクマイエルの映画を見て衝撃を受け8mmフィルムカメラを買ってコマ撮りをしたりしました。

その後もそのままの勢いで高校卒業後は映画の専門学校に入りました。

専門学校では同世代の作った作品を観られることがよかったかなと思います。いいモノも悪いモノも全てがいい勉強になりました。とにかく映画に限らずいろんなものを見たり聞いたり体験することが大事だと思いました。そうして自分自身の面白レベルを上げないと、面白く無いやつの面白いと思ったものなんか誰も面白がってはくれません。

専門学校の卒業制作では、学校関係なく当時芸大に行っていた大力と一緒に映画を作りました。それが二人で映画を完成させた最初の作品になりました。

とにかくやりたい事を詰め込み60分の映画が完成しました。
卒業制作では審査があり、各クラス2作品選出され映画館で上映されるのです。
で、なんとそこに選ばれて初めて自分達の作品が映画館で上映されました。

自分達の映画が映画館のスクリーンに映し出されていることがとても嬉しかったことを今でも強烈に覚えています。

作ったものを褒められること評価されることでモチベーションが上がります。
シンプルです。
そのおかげで僕達は映画を作り続けることができます。しかし褒めてもらうには見てもらわなければならないのですが映画を見てもらうことの難しさ後々思い知ることになります。

今回(2017年10月)劇場公開する『ニコトコ島』『石と歌とペタ』のコトを書きたいけどなかなかたどりつけません。

次回は、専門学校を卒業したあとの映画制作について書きたいと思います。

(つづく)

【第2回はこちら

 

プロフィール
三浦崇志みうら・たかし

大力拓哉と二人組監督として活動。共に1980年大阪府出身。2人は小学校からの幼なじみ。2007年に『タネ』がイメージフォーラム・フェスティバルにて入賞。第4回シネアストオーガニゼーション大阪(CO2)助成作品として、中編『僕達は死んでしまった』(2008)を製作。同年自主製作した中編『ニコトコ島』は、イメージフォーラム・フェスティバル2009にてグランプリにあたる大賞を受賞、第62回ロカルノ国際映画祭のコンペティション部門「Filmmakers of the Present」に選出される。翌年制作した、『コロ石』(2010)が、パリのポンピドゥー・センター(国立美術文化センター)で上映。『石と歌とペタ』(2012)は、ローマ国際映画祭「CINEMAXXI コンペティション部門で上映された。その後も毎年新作を製作し、唯一無二の世界を常に更新し続けている。
http://dddmmm.info/

 

フィルモグラフィー

Monologues』(34分/カラー・モノクロ/DV/2016)

ほなね』(72分/カラー/DV/2016)

今日も順調』(116分/カラー/DV/2015)

Road movie』(61分/モノクロ/DV/2014)

石と歌とペタ』(60分/カラー/DCP/2012)

コロ石』(61分/モノクロ/DV/2010)

ニコトコ島』(47分/モノクロ/DV/2008)

僕達は死んでしまった』(55分/モノクロ/DV/2008)

タネ』(50分/モノクロ・カラー/DV/2007)

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