マンガ研究者・小田切博によるアメリカン・ヒーロー・コミックスを解説した連載。第17回目の今回は前回に引き続き「クロスオーバー」の歴史をたどっていきます。「エルスワールド」や『ゼロ・アワー』によって並行世界は次々に増殖し、そして2005年に始まった『インフィニット・クライシス』では、複雑化したユニバース全体を統括する「ショーランナー」の存在が重要になっていきます。巨大化し続ける物語を、DCコミックスはいかに管理してきたのでしょうか。
(前編より続く)
死と失墜とゼロ時間
おそらく2010年にジェフ・ジョーンズがCCOに就任したのも、彼が2005年におこなわれた『クライシス・オン・インフィニット・アース』の続編的な性格を持つクロスオーバー企画『インフィニット・クライシス(Infinite Crisis)』[1]において、前年の2004年からイベント翌年の2006年の各レギュラータイトルの展開に至るまで、じつに緻密なトータルプロデュースをおこなって成功させた、その手腕と実績が評価されてのことだったと思われますが、ここではもう少し1990年代のクロスオーバー事情について確認しておきたいと思います。
フルスケール・クロスオーバーではありませんが、1990年代半ばには1992年から1994年にかけてスーパーマンの死を描く「デス・オブ・スーパーマン」三部作、1993年から1994年にかけてバットマン/ブルース・ウェインが再起不能になり、別なキャラクターがバットマンを引き継ぐ「ナイトフォール(Knightfall)」三部作[2]という、基本的にはグループタイトル内で展開され、その後のDCユニバース全体のストーリーにも大きな影響を与えた重要な長編クロスオーバー企画が展開されていました。
先述したように『クライシス・オン・インフィニット・アース』後、スーパーマンもバットマンもオリジン・ストーリーが変更され、スーパーマンは1986年にジョン・バーンが新しいオリジンをミニシリーズ『スーパーマン:マン・オブ・スティール』として刊行し、バットマンに関してはフランク・ミラーとデヴィッド・マッツケーリが『バットマン』誌404号から407号まで「イヤー・ワン」というストーリーライン[3]として連載しました。
以降、スーパーマンに関してはジョン・バーンがその後二年間「スーパーマン」グループ全体のストーリーを統括する立場に就きますが、その制約の大きさに音を上げて1988年に辞任、グループエディターのマイク・カーリンのもとで複数の脚本家が合議によって方針を決める集団制作体制に移行しています。いっぽうフランク・ミラーはパーマネントにバットマンにかかわることを良しとしていなかった[4]ため、こちらは1986年以降、編集兼脚本のデニス・オニールを中心にした複数脚本家の合議でバットマン関連タイトルの方向性を決めていました。
このようにDCコミックスでは、1980年代後半、レギュラー・タイトル制作にグループ化とラインプロデュースが制作手法として導入されていったのですが、問題はそれが会社組織主導でおこなわれたものではなく、コミックショップ流通の一般化や大型クロスオーバーの登場などの変化の中、現場レベルでおこなわれた試行錯誤によって生じた、自然発生的なものだったことです。
そのため、1990年代のコミックブック制作においてはグループ単位でのミーティングはおこなわれていたものの、グループ間での情報共有はまったくなされていなかったらしく、デニス・オニールはコミックス情報誌『ウィザード』に掲載された「ナイトフォール」三部作に関する取材記事[5]で自分たちの企画に対する「デス・オブ・スーパーマン」の影響をはっきり否定し、その企画内容自体をまったく知らなかったと証言しています。
同時期のマーベルコミックスでも、クリス・クレアモントの離脱もあって、Xメン系を中心に集団制作体制による大型クロスオーバーの常態化が進んでいきますが、1990年代前半のマーベルコミックスはコンテンツ制作面に対して全く理解のない経営体制のために、Xメン系以外のタイトルのラインプロデュースはほとんど迷走していたといっていい状態にありました。
MCUの成功以降は世界的な認知度を得たアベンジャーズはこの時期は内容的にも売上的にもはっきり低迷していましたし、1994年から1996年までスパイダーマン系のタイトルで展開された大長編ストーリーライン「クローン・サーガ(Clone Saga)」[6]など、Xメン系以外の既存タイトルのストーリーは概ね評判が悪く、新規タイトルも1992年に当時新創刊後人気が上昇していたゴーストライダーを中心にホラー/オカルト系のキャラクターによる新出版ライン「ミッドナイト・サンズ(Midnight Sons)」[7]を開始するなど、作品的な完成度ではなくひたすら出版点数を増やすことだけを目的としているような状態でした。
マーベルコミックスの制作体制が復調していくのは、1998年にトイビズ社の経営陣が経営権を握って以降のことになります。
こうして、ライバルが迷走する中、DCコミックスではスーパーマンとバットマンという自社の屋台骨を支える二大キャラクターIPが、ほぼ同時期に表舞台から退場するという奇妙な状況が唐突に出現することになりました。
1994年には、タイムトラベルものだった1991年の『アーマゲドン2001』以降、なし崩し的に再導入された時間分岐による並行世界の存在を再整理するためにフルスケール・クロスオーバー・イベント『ゼロ・アワー(Zero Hour)』[8]が展開され、1986年の『ヒストリー・オブ・ザ・DCユニバース』刊行から10年も経たないこの時点で早くもDCユニバースの歴史が再び書き換えられてしまいます。しかも、この物語には『クライシス・オン・インフィニット・アース』で「存在しなくなった」はずの設定も再登場してくるのです。
そして、このイベントで登場した幽霊のような幻の歴史は、1998年に展開された変則的なイベント『キングダム(The Kingdom)』[9]で「ハイパータイム(Hypertime)」というかたちで説明づけられ、これ以降、DCユニバースにはほぼマルチバースと変わらない多数の並行世界が再び公式に存在することになります。
想像の世界と「外」の世界
そんなことをするから『クライシス・オン・インフィニット・アース』のような強引な世界観リセットが必要になるんだろうと思わなくもないのですが、1940年代からDCコミックスでは「読者の皆さん、こんなことが起きたらと想像してみてください」といった前置きではじまる、通常のストーリーからは独立した「もしも(if)」の世界を描くストーリーが不定期に掲載されていました。
これを通称「イマジナリー・ストーリー(Imaginary Story)」といい、マーベルコミックスでもこれと同じアイディアを1977年に『ホワット・イフ…?(What if…?)』という月刊の独立したコミックブックシリーズとして創刊しています。DCコミックスの場合、紛らわしいのはレギュラーの月刊タイトルの中でこれをおこなっていたことで、たとえば「スーパーマンのガールフレンドであるロイス・レーンがスーパーパワーを手に入れてヒーローになる」というストーリーが『アクション・コミックス』誌の劇中で展開されていた[10]として、それが継続した設定変更なのか、その話限りの「イマジナリー・ストーリー」なのかは実際に読んでみないとわからなかったわけです。
DCコミックスがこの「イマジナリー・ストーリー」を出版ラインとして独立させたのはマーベルに比べるとだいぶ遅く、1989年に独立した描きおろし単行本のフォーマットで出版した、19世紀のゴッサムシティにあらわれた切り裂きジャックとバットマンが対決する『ゴッサム・バイ・ガスライト(Gotham by Gaslight)』[11]という作品が作画を担当したアーティストのマイク・ミニョーラ[12]の斬新なアートスタイルもあって人気を博し、この好評をうけるかたちでようやく「イフ」もののコミックス専門のサブレーベル「エルスワールド(Elseworlds)」[13]が1991年に設立されました。
これ以降、基本的には「DCユニバース」から外れた設定の物語は、このレーベルからクリエイター・オリジナル作品として刊行されることになるのですが、1996年に「エルスワールド」から刊行されたアレックス・ロス[14]の華麗な水彩画が全編を飾る「DCユニバース」のディストピア的な未来の物語『キングダム・カム(Kingdom Come)』[15]が大成功を収めたことによりこの前提が怪しくなってきます。
この作品の成功に気をよくしたDCコミックスは現行の「DCユニバース」と『キングダム・カム』の世界をつなぐ作品の企画を原作者であるアレックス・ロスに打診し、脚本のマーク・ウェイド[16]とロスがこれを了承したことから、変則的な『キングダム・カム』の続編/前日譚企画として『キングダム』というタイトルの作品の制作が決定されました。ところが、詳しい経緯は不明ですが、早々にロスが企画から離脱し、けっきょく残ったマーク・ウェイドがひとりでこの企画をまとめあげることになります。
これはウェイド自身が2024年に刊行された『キングダム』25周年記念版単行本の序文で述べていることですが、結果的にいえばウェイドはこの作品を「DCユニバース」と『キングダム・カム』の世界をリニアな時間軸でつなげる物語に仕立てることには失敗しました。そもそも現在進行形で毎月更新されている「DCユニバース」と本来そこから独立している前提でつくられた「エルスワールド」としての未来を接続しようという企画趣旨自体が無茶なものだとしか思えないのですが、その「無茶」を成り立たせるためにウェイドが導入したのが友人であるコミックライター、グラント・モリソン[17]のアイディアである「ハイパータイム」でした。
超越時間と世界の再分裂
「ハイパータイム」とは「並行する時間軸同士が相互接続されることによって構成される複数の現実群」として『キングダム』作中で説明されている概念で、量子力学的な時間分岐の機会に枝分かれした可能性世界がすべて存在し、網の目状に絡み合ったタペストリーのようになっているというイメージの時空宇宙論です。
この概念を導入することで『キングダム』は、『キングダム・カム』で描かれた出来事のあとスーパーマンの存在が自身と世界に起こった悲劇の原因と考えるようになった男が「すべての並行世界のスーパーマン」を殺そうとする物語として出版されることになりました[18]。
つまり、少なくともこの作品が発表された1998年の時点では、当該時点の「DCユニバース」の時間軸と『キングダム・カム』の時間軸に直接的な繋がりを持たせることをウェイドは諦め、代わりに無数のオルタナティブ・ヒストリーの存在を認めることで無理のあるコンセプトの企画をなんとか成立させようとしたわけです。
ハイパータイムというこのわかったようなわからないような理屈によってDCユニバースには実質的に無数の並行世界、「マルチバース」が再導入されたのですが、モリソンやウェイドにとってより重要だったのはこのモデルを導入することで、過去に書かれ/描かれてきた全てのDCコミックスのスーパーヒーロー・コミックスをメインのDCユニバースタイトルにおいても「素材」として扱うことができるようになった点でした[19]。
先に「DCユニバース」外の作品はクリエイターのフリーハンドが保証されるかたちでつくられていると書きましたが、問題はユニバースの中だろうが、外だろうが、現代のクリエイターは全て「ポストモダン」以降の創り手であり、メタフィクション的な視点を持って作品制作をおこなっているということです。
アラン・ムーアの『ウォッチメン』やフランク・ミラー『ダークナイト・リターンズ』も当然過去のスーパーヒーロー・コミックスを参照するかたちで物語が構築されていましたし、直接的な物語内での連続性を持たなかったとしても、これらの作品が発表されて以降のスーパーヒーロー・コミックスではメタ的にこの二作を含めた古典をリファレンスして創作活動がなされています。
このように、常にジャンル内外の先行作品を素材として取り込むことで変化していくポピュラーカルチャーとしての「スーパーヒーローコミックス」では、けっきょく「矛盾なくストーリーを展開するための単一ユニバース」という設定自体が創作レベルでは制約として働くのではないか、ということが、ポスト・クライシス期の「DCユニバース」、特に『アーマゲドン2001』から『ゼロ・アワー』、『キングダム』に至るタイムパラドックスを扱ったクロスオーバーイベントを通じて問題として表面化していくことになりました。
そして、このようなクリエイターサイドの問題意識を受けて公式に世界を再度分裂させ、マルチバースを復活させたのが、周到な準備の上で2005年にジェフ・ジョーンズを「ショーランナー」役に据えておこなわれた第二の「クライシス」、『インフィニット・クライシス』です。
プロデュースと作家性の相克
この第二のクライシスが他のクロスオーバー・イベントと異なっていたのは、2004年頃からDCコミックスで刊行されたレギュラーシリーズ、ミニシリーズでの展開で『インフィニット・クライシス』にいたるストーリー展開、伏線が仕込まれており、かつ2005年にはイベントシリーズ刊行のカウントダウンとして単発のコミックブックと5つのミニシリーズ[20]が刊行され、レギュラーシリーズ、ミニシリーズのラストのクリフハンガーがすべて『インフィニット・クライシス』の開幕につながっているというその考え抜かれた構成でした。
おそらく2000年代初頭から構想されていたと思われるこの展開[21]は、直接的な導入こそ5つのミニシリーズに集約されているとはいえ、DCユニバース内のすべてのレギュラーシリーズ、ミニシリーズの展開を把握し、物語の進行やリリース時期を調整しなければ実現しないようなスケールのもので、その労力を想像するだけで気が遠くなります。
物語の導入ですでに、宇宙、魔術世界、地球という当時のDC世界すべてで壊滅的な状況が到来してしまっているこのクロスオーバー本編では、じつは物語内の現実とは一段ずれたメタ的な領域の「危機」が「本当の危機」として描かれることになります。
すべての面で破滅が迫るDCユニバースに対して、『クライシス・オン・インフィニット・アース』で消滅したはずの「アース2」のスーパーマン、「アース3」最後の生き残りであるアレクサンダー・ルーサーJr.(善悪が逆転したアース3のレックス・ルーサーの遺児)、現実世界をモデルにした「アース・プライム」のスーパーボーイら、じつは生き延びていたプレクライシス・マルチバースのキャラクターたちがこの状況を不当で理不尽なものであるとして、それまで幽閉されていた亜空間の壁を破り、この世界の「リアリティー」自体を改変しようと介入していることが判明するのです。
中でもメインの悪役として大暴れするのが、1985年に『クライシス・オン・インフィニット・アース』のタイインとして刊行された『DCコミックス・プレゼンツ』87号[22]で初登場した通称スーパーボーイ・プライムですが、先に述べたようにこのキャラクターはもともと「スーパーヒーローが存在しない」現実を模した世界「アース・プライム」で『スーパーマン』のコミックブックを読んで育った普通の少年である、というそれ自体メタフィクション的な設定を与えられたキャラクターでした。
ジェフ・ジョーンズのストーリーテリングが巧みだと思うのは、そのようなキャラクターをメインの悪役に据えることで、スーパーボーイ・プライムの感じるDCユニバースが陥る危機、ひとびとの悪意や愚かな選択、そしてそれに介入できない自分たちの無力さへの苛立ちが、コミックブック読者が劇中の展開に対して感じるであろうそれに重ね合わせられるようになっている点です。
『インフィニット・クライシス』本編で、スーパーボーイ・プライムやアレックス・ルーサーJr.はそれまで描かれてきた物語の「内側」の危機をその「外側」の傍観者の視点によって断罪し、自分たちの都合のいいように「内側」を改変しようとするわけですが、これはそのままネットなどでコミックファンが物語やキャラクターについて論評する姿を反映したものだといえます。作中で自分たちが考える「あるべき本来のDCユニバース」を創り出そうとする、彼らのような単一の正解を求める視点を「正義」としてではなく、一種の悪、不健全さとして描くところに、現代のスーパーヒーローコミックスの複雑なあり方、その物語が根底に抱える倫理的な葛藤があらわれています。
いっぽう、物語内のリアリティーのレベルでは、このクロスオーバー・イベントのラストで「ポストクライシス」期にいちおう単一の存在とされてきたDCユニバースは、公式に52のマルチバースへと分裂し、再度「マルチバース」の存在を前提とした作劇がなされるようになりました。
イベント終了後、刊行中のタイトルがその1年後を舞台にしたストーリーへとスキップされ、空白の一年間の出来事は週刊シリーズ『52』[23]で語られるという物語の後処理も含め、のちのDCコミックスCCO、ジェフ・ジョーンズによるこの一連のクロスオーバー・イベントのプロデュースは見事なものとしかいいようがありません。
そのため、DCコミックス編集部はおそらくこのやり方をしばらくは踏襲しようとしたのでしょう。2007年にはショーランナー役にグラント・モリソンを据えて次なるクロスオーバー・イベントの導入となる週刊タイトル『カウントダウン・トゥ・ファイナル・クライシス(Countdown to Final Crisis)』[24]を刊行、2008年にフルスケール・クロスオーバー・イベント『ファイナル・クライシス(Final Crisis)』[25]をおこないました。
しかし、このシリーズは面白くないわけではないのですが、『インフィニット・クライシス』ほどイベントとしてはうまくいきませんでした。導入編である『カウントダウン・トゥ・ファイナル・クライシス』と本編との矛盾が指摘されるなど、長期に渡って参加したクリエイターたちが共同でつくりあげた複雑で壮麗な構築物だった前作と比べると、メイン作家であるグラント・モリソンの作家性が突出している分、全体としては構成の緊密さに欠ける点は否めません。
つまり、現代のコミックブック出版社単位の「ユニバース」ラインの舵取り役は、作家的に優れているだけでは資質として足りず、長期に渡って各コンテンツの物語や出版展開を監修しながら、キーとなるイベントへと出版されているコミックブック全体、それに関わるクリエイターたちを誘導していく、調整型の能力が必要だということなのだと思います。
また、2000年代は1986年創業のダークホースコミックス[26]、1992年創業のイメージコミックスといったエンターテインメント色の強い中堅の独立系コミックブック出版社の成長もあって、インディペンデント出身のクリエイターがDCコミックス、マーベルコミックスの二大スーパーヒーロー・コミックブック出版社でも活躍するようになった時代でした。
こうしたインディー系出身作家の代表例としては、経営再建後のマーベルコミックスで2000年にサブユニバース「アルティメット・マーベル」[27]のトータル・プロデュースを任されて成功させ、2004年からは『アベンジャーズ』誌のライターに就任して新生マーベル・ユニバースの舵取り役を担ったブライアン・マイケル・ベンディス[28]、2012年からベンディスの役割を引き継いで『アベンジャーズ』のメインライターをつとめたジョナサン・ヒックマン[29]辺りがその代表といえます。
彼らは2000年代のマーベルコミックスにおいて、DCコミックスにおけるマーヴ・ウルフマンやジェフ・ジョーンズのような役割を負うことになったのですが、ここではその辺りの経緯について詳しくは述べません。ただ、この時期にはマーベルコミックスもDCコミックス同様にショーランナー的な役割をもったライターを中心とした、グループタイトル、ユニバースレベルでの集団制作によるストーリー構築がなされるようになっていたことは指摘しておきます。
フラッシュポイントとタイムピリオドの管理
先にも述べたようにジェフ・ジョーンズは再びショーランナー役をつとめた2009年のフルスケール・クロスオーバー『ブラッケスト・ナイト(Blackest Night)』[30]を経て、2010年にDCコミックスのCCOに就任しました。
以降、ジョーンズがDCコミックスを離れる2018年までは、基本的に彼の監修のもとでDCユニバースの物語は展開されていきます。このジョーンズCCO就任の翌年、2011年にDCコミックスは新CCO自らの脚本で『インフィニット・クライシス』で分裂させた52のマルチバースの設定を再変更するクロスオーバー・イベント『フラッシュ・ポイント(Flashpoint)』[31]をおこないました。
『フラッシュポイント』は2023年公開の映画『ザ・フラッシュ(The Flash)』[32]のストーリーの実質的な原案になっているクロスオーバー・イベントであり、バリー・アレン/フラッシュが過去に戻り母親の死を改変しようとしたことから破滅的な現在を創り出してしまう、という例によってタイムパラドックスをテーマにしたストーリーです。
このイベントの結果、DC世界の52のマルチバースは再融合と再分裂を起こし、新しい52のマルチバースへと再生します[33]。
この『フラッシュポイント』イベントは、先行する『インフィニット・クライシス』に比べると構成的な緊密さに欠けるもので、完全に物語の途中であったグラント・モリソン期のバットマン系タイトルの展開を無視して強行されたこと[34]などレギュラータイトルの展開ともうまく連動できておらず、『インフィニット・クライシス』によって52に分裂したマルチバースの各世界の設定がこの時点ではまだほとんど語られていなかった点からみても、制作部門の長期計画に基づくストーリー、企画だったとはちょっと考えられません。
おそらく、ジム・リーがDCコミックスに合流した際に持ち込んだイメージ時代からの彼のスタジオのキャラクターIP「ワイルドストーム(WildStorm)」[35]のキャラクターたちや1993年にクリエイター・オリジナル作品のレーベルとして独立させた「ヴァーティゴ」で主として扱っていたスワンプシング、アニマルマン、ジョン・コンスタンティン、ドゥーム・パトロールなどの、本来DCユニバースに存在するはずだが帰属が曖昧になっていたキャラクターたちを明示的にDCユニバースに合流させるために企画された、ビジネス上の判断が先行しておこなわれたイベントだったように思われます。
この時期にライバルであるマーベルコミックスでは、マーベルスタジオが2008年の『アイアンマン』の映画以降、自社制作でおこなってきた映画でのユニバース展開の成功があきらかになりつつありました。巨大メディア・コングロマリットであるタイムワーナーグループ(当時)の一部だったDCコミックスとしても、こうした状況に対して、映画、テレビドラマ、アニメーションなど、他のメディアでの自社IPの展開を見据えた何らかの経営的な判断があったのかもしれません。
おそらく、そのような時期にコミックブック固有のマーケティング戦略として取り入れられたギミックのひとつが、このイベント以降導入された、一定の刊行期間ごとに「DCユニバース」内のコミックブック・タイトルに共通して冠されるようになった「イニシアチブ名」だと思います。
ここでいう「イニシアチブ名」とは、『フラッシュポイント』後は「ニュー52」、2015年におこなわれた「ニュー52」以前の設定、物語、キャラクターをすべて復活させたイベント『コンバージェンス(Convergence)』[36]以降は「DCリバース」といった、刊行時期ごとにつけられたキャッチフレーズのことです。コミックブックや単行本のカバーにこれらのイニシアチブ名を記載することで、DCコミックスは読者が同一時期に出版された作品を判別しやすくしたわけです[37]。
そして、その「ニュー52」イニシアチブ期にグラント・モリソンに続くバットマン系タイトルのメインライターに就任し、2017年以降はジェフ・ジョーンズ離脱後の「DCユニバース」のストーリー面での展開を主導していくことになるクリエイターが、まだコミックスライターとしてのキャリアを開始したばかりの新人だったスコット・スナイダーでした。
(中編了)
注
[1] Geoff Jones脚本, Phil Jimenez作画, “Infinite Crisis”, 2005, DC Comics, 邦訳は石川祐人, 今井亮一訳『インフィニット・クライシス』, 2017, ヴィレッジブックス
[2] 1993年の“Knightfall”、1993年から1994年にかけての“Knightquest”、1994年の“KnightsEnd”という三部作。バットマン関連タイトル全誌で展開された。
[3] Frank Miller脚本, David Mazzucchelli作画, “Batman: Year One”, 1987, DC Comics, 最新の邦訳は秋友克也訳で石川祐人訳の“Batman: Year Two”との合本で発売された『バットマン:イヤーワン/イヤーツー』, 2009, ヴィレッジブックス
[4] Dan Greenfield, “The DENNY O’NEIL INTERVIEWS — Batman: Year One”, “13th Dimension”, 2014, https://13thdimension.com/the-denny-oneil-interviews-batman-year-one/
[5] Craig Shutt, “Dark Knights”, “Wizard”#35, 1994, Wizard Press
[6] Clone Saga 1994年から1996年までマーベルコミックスのスパイダーマン関連のコミックブックすべてを横断して展開された大長編ストーリー。1973年の同名のストーリーラインで登場した死んだはずのスパイダーマン/ピーター・パーカーのクローンがじつは生きており、さらにその時に本物とクローンの入れ替わりが起きていたのではないか、という疑惑を中核にした物語で、物語は途中から再登場したクローン(?)のピーター・パーカーがベン・ライリーと名乗ってスパイダーマンを引き継ぐことになる。当初は一年で完結する予定だったが、売れ行きの好調さから経営陣の要請でストーリーが強引に引き延ばされ、結果的に二年以上展開された。この「いままでの主人公のほうがじつはクローンでした」という衝撃的なプロットと強引な引き延ばしによる冗長なストーリー展開、無理のある終わり方から、基本アイディアは面白いのだが、このストーリーラインは当時のコミックファンからはほぼバッシングに近い批判を受けていた。なお、この作品の評判が悪いことは、刊行時の編集長Tom DeFalco自身が当初の構想に従って全6号のミニシリーズとしてClone Sagaをリメイクした2009年の“Spider-man: Clone Saga”の序文で認めている。原作が膨大すぎるため、邦訳刊行は不可能視されていたが訳者の小池顕久が原作エピソードをセレクションして再構成した一冊本が小学館集英社プロダクションから2023年に刊行された。
[7] Midnight Sons 1992年にクロスオーバー・イベント“Rise of the Midnight Sons”を導入として、マーベルコミックスがホラー、オカルト系のキャラクターを集めて立ち上げた出版ライン。売上不振から1994年頃には出版ラインとしては自然消滅した。
[8] Dan Jurgens, “Zero Hour: Crisis in Time”, 1994, DC Comics
[9] Mark Waid脚本, Ariel Olivetti, Mike Zeck作画, “The Kingdom”, 1998, DC Comics
[10] この種のストーリーは実際にJerry Siegel脚本, George Roussos作画, “Lois Lane — Superwoman”, “Action Comics”#60, 1943, DC Comics以降何度も語られている。
[11] Brian Augustyn脚本, Mike Mignola作画, “Gotham by Gaslight”, 1989, DC Comics, 邦訳は続編“Master of the Future”を併録した森瀬繚訳, 『バットマン:ゴッサム・バイ・ガスライト』, 2022, 小学館集英社プロダクション
[12] Mike Mignola アメリカのコミック作家、イラストレーター。1980年代からDC、マーベルでコミックアーティストとして活動をはじめ、1994年にDark Horse Comicsからオリジナル作品“Hellboy”を刊行しはじめ、独自の地位を築く。その独特のアートスタイルは日本でも多くのマンガ家、イラストレーターに影響を与えている。
[13] Elseworlds DCコミックスが「ifモノ」専門のサブレーベルとして1991年に設立した出版ライン。2003年まではスーパーヒーローの改変世界作品は基本的にはこのレーベル名で出版された。理由は不明だが同年に同レーベルの見直しが発表され、以降は2023年に公式アナウンスされた2024年のレーベル再開まで2010年刊行の“Superman: The Last Family of Krypton”一作以外は同レーベルからの作品出版はない。
[14] Alex Ross アメリカのコミック作家、イラストレーター。1990年代初頭からイラストレーターとしての活動をはじめ、1994年にKurt Busiek脚本でMarvel Comicsから全編水彩画で描かれた作品“Marvels”を刊行。一躍スーパーヒーローコミックスの世界でスター・アーティストとなる。“Kingdom Come”以降はプロットの基本アイディアを提供し、キャラクターデザインをおこなった作品や自身で脚本も担当した作品を発表するなど、アーティストだけではなく、プロデューサー、ストーリーテラー的なスタンスになっている。
[15] Mark Waid脚本, Alex Ross作画, “Kingdom Come”, 1996, DC Comics, 最新の邦訳は2010年刊行の秋友克也, 依田光江訳, 『キングダム・カム』愛蔵版, 小学館集英社プロダクション
[16] Mark Waid アメリカのコミックブック編集者、ライター。1980年代からスーパーヒーローコミックス関連の記事を書きはじめ、1985年にDCコミックスで脚本家としてデビュー。1990年代以降はマーベルコミックスでも脚本を書きはじめる。2000年代以降はCrossGen ComicsやBoom Studioといったインディー・コミックブック出版社の設立にもかかわっている。
[17] Grant Morrison スコットランド出身のコミックライター、作家。1970年代末に自作のアンダーグラウンドコミックスを発表し、1980年代前半はバンド活動を中心にしていたが、1980年代半ば頃からイギリスのコミックマガジンで脚本を担当した作品を発表するようになり、1988年にDCコミックスの“Animalman”からアメリカの出版社との仕事をはじめ、以降様々なコミックブック出版社で作品を発表する。作品にはきわめて抽象的で難解な内容のものも多く、奇矯な言動、行動も多いため彼自身のカルト的なファンも多く、2012年にはラスヴェガスで“Morrison Con”という個人名を冠した珍しいコンベンションがおこなわれた。
[18] なお、企画当初のAlex Ross、Mark Waidが構想した“Kingdom”の初期プロットはそれぞれ、Alex Ross版が2007年創刊の“Justice Society of America”第3シリーズの#9から#22で展開され、Mark Waid版は2022年創刊の“Batman / Superman: World’s Finest”#20から#24までのストーリーラインで描かれている。
[19] この点に関してMark Waidは前述の“Kingdom”25周年記念単行本の序文でGrant Morrisonとの短い会話を紹介し、そこで「これまで出版されたすべてのストーリーはいまも存在している」というメタ的な前提を確認しあったことを書いている。
[20] ワンショット“Countdown to Infinite Crisis”とミニシリーズ“OMAC Project”, “Rann-Thanagar War”, “Day of Vengence”, “Villains United”, “DC Special: Return of Donna Troy”
[21] 当時の編集責任者であるDan Didioは2006年に刊行された“Infinit Crisis”の単行本の序文で「1号刊行の3年近く前」に“Countdown to Infinite Crisis”からの具体的な流れを詰めた旨を書いているが、当然“Countdown to Infinite Crisis”までの流れはそれ以前に構想されていたはずである。
[22] Eliott S. Maggin脚本, Curt Swan作画, “The Origin of Superboy-Prime!”, “DC Comics Presents”#87, 1985, DC Comics
[23] Geoff Jones, Grant Morrison, Greg Rucka, Mark Waid, Keith Giffen脚本, Joe Benett, Chris Batista, Phil Jimenez他作画, “52”, 2006, DC Comics
[24] Countdown to Final Crisis Paul Dini, Sean McKeeverらの脚本、Keith Giffen, Jesus Saizらの作画で2007年から2008年に一年限定の週刊シリーズとして刊行された。刊行当初は単に“Countdown”というタイトルだったが、26号から“Coutdown to Final Crisis”にタイトル変更された。“Final Crisis”導入タイトルという位置づけだが、実際には同シリーズと矛盾する設定が多く、“Final Crisis”脚本のGrant Morrisonは制作上の都合からこのシリーズに積極的に関与することができず、ストーリーや設定に矛盾が生じていることを“Final Crisis”刊行開始時のインタビュー(Matt Brady,
“Grant Morrison on Final Crisis #1”, “Newsarama”, 2008, https://web.archive.org/web/20080906091707/http://www.newsarama.com//comics/080609-MorrisonFC01.html)で認めている。
[25] Grant Morrison脚本, J. G. Jones, Carlos Pacheco, Doug Mahnke作画, “Final Crisis”, 2008, DC Comics, 邦訳は小池顕久訳, 『ファイナル・クライシス』全二巻, 2018, ヴィレッジブックス
[26] Dark Horse Comics 1986年に設立されたアメリカのコミックブック出版社。1980年代末からSF映画のコミック化権を獲得し、1990年代には“Alien”, “Predator”, “Star Wars”等の映画ライセンスを利用したコミックブックの出版によって成長した。1993年には日本のビクターブックスと提携し、雑誌『スーパー・コミック・メーカー』、単行本で短期間同社から邦訳が出版されていた。
[27] Ultimate Marvel ここでいっているのは2000年にはじまった第一期“Ultimate Marvel”ライン。マーベルコミックスのキャラクターと物語を現代的にリメイクする企画で、スパイダーマン、Xメン、アベンジャーズ、ファンタスティック・フォーなどのマーベルコミックスにおける主要なキャラクターの物語をオリジン・ストーリーから語りなおす出版ラインだった。通常のマーベルユニバースの並行世界として位置づけられており、二つのユニバース間でのクロスオーバー企画などもおこなわれたが、2015年にマーベルコミックスがおこなったフルスケール・クロスオーバー・イベント“Secret Wars”でメインのマーベルユニバースと融合してひとまずは出版ライン、ユニバースともに消滅した。
[28] Brian Michael Bendis アメリカのコミック・ライター、アーティスト。1993年にインディー・コミックブック出版社、Caliber Comicsからハードボイルド・ミステリ、サスペンス的な作品を出版し、コミック作家としての活動を開始。初期作品では自ら作画も手がけている。マーベルコミックスでの仕事は2000年から。2000年の“Ultimate Marvel”のトータルプロデュースの他、主に「ユニバース内」だが作家色の強いオリジナル企画のレーベルとして設立された“Marvel Knights”レーベルで作品を発表していたが、2004年に“Avengers”の新ライターに抜擢され、それまでの設定を一新した。以降はアベンジャーズを中心としたマーベルユニバース全体の流れをコントロールし、2012年までは“Avengers Disassembled”, “Secret Invasion”など主要なクロスオーバーの脚本も担当。以降はDCコミックスでの脚本執筆やオリジナル作品の発表の他、映像メディアやゲーム開発などもおこなっている。
[29] Jonathan Hickman アメリカのコミック・ライター、アーティスト。2006年にImage ComicsからオリジナルのSF作品を発表してコミック作家としての活動を開始。初期作品は自ら作画も手がけている。マーベルコミックスでの仕事は2009年から。2012年のMarvel Now!イニシアチブからBrian Michael Bendisのあとを受けて“Avengers”のライターに就任し、スケールの大きなSF作品に同作をリニューアル。“Infinity”と“Secret Wars”というマーベルコミックスの重要なクロスオーバーのタイトルにちなんだ二つのフルスケール・クロスオーバーでマーベルユニバースの世界観を刷新。2019年にはX-Menのメインライターに就任すると“House of X / Power of X”でX-Menをそれまでとはまったく異なった社会学的な思考実験とでもいうべき内容の物語に変えた。2023年にはミニシリーズ“Ultimate Invasion”で第二期“Ultimate Marvel”を立ち上げ、このサブユニバース全体のプロデューサー役をつとめた。
[30] Geof Jones脚本, Ivan Reis作画, “Blackest Night”, 2009, DC Comics, 邦訳は今井亮一訳, 『ブラッケスト・ナイト』, 2018, ヴィレッジブックス
[31] Geoff Jones脚本, Andy Kubert作画, “Flashpoint”, 2011, DC Comics, 邦訳は秋友克也訳, 『フラッシュポイント』, 2012, ヴィレッジブックス
[32] Andy Muschietti監督, “The Flash”, 2023, Warner Brothers
[33] “Flashpoint”後の新しい52のマルチバースは意図的に“Crisis on Infinite Earths”以前のマルチバースに類似した分割がおこなわれており、新しい中心世界として設定された「アース0」、プレクライシス期にジャスティス・リーグが存在した「アース1」、ジャスティス・ソサイエティが存在した「アース2」、クライム・シンジケートが存在した「アース3」といったかたちで、0から51までの「アース」にそれぞれ「元ネタのある」設定が割り振られている。2014年から2015年にかけてこれら52の「アース」がどのような世界であるかを紹介するシリーズ“The Multiversity”がGrant Morrisonの脚本で刊行されたが、その後“Convergence”(2015)、“Doomsday Clock”(2017)、“Dark Nights: Metal”(2017)といったイベントによってこのようなアースの分割設定自体がほぼ無意味化していった。一見、厳密に設計されたシェアード・ユニバースであるかのように見えながら、ひとりの作家の構想に従って創られ得ない現代のスーパーヒーロー・コミックスの特殊性がこの事例からもわかる。
[34] Grant Morrisonは2006年の“Infinity Crisis”終了後にバットマングループのメインライターに就任し、“Batman”誌を中心にグループ全体を巻き込む大がかりなストーリーを展開していた。このバットマン系でのストーリー展開を受けて自身が脚本を担当した2008年のクロスオーバー・イベント“Final Crisis”ではブルース・ウェイン/バットマンが死亡したように見えるエンディングになっており、そのブルース・ウェインが帰還するのは2010年のリミテッド・シリーズ“Batman: Return of Bruce Wayne”でのことになる。2011年の“Flashpoint”はタイミング的にこのブルース・ウェイン帰還直後であり、Morriso期のバットマンのストーリーはそこから伏線を回収してクロージングに向かうところだった。このため、「ニュー52」でのバットマンは当初Grant Morrisonのストーリーと新メインライターのScot Snyderのストーリーが並行して刊行されている変則的な状況になっていた。
[35] WildStorm 1992年にマーベルコミックスから独立しImage Comics設立に参加したJim Leeが自身のコミックブックタイトル制作とIP管理のために設立した法人名であり、また同レーベルから発売されたコミックブックに登場するキャラクターや世界観、ユニバースの総称。
[36] Jeff King, Dan Jurgens, Scott Lobdell脚本, Ethan Van Sciver, Andy Kubert他作画, “Convergence”, 2015, DC Comics, このイベントでは“Flashpoint”で消滅し、まったく新しい「New 52」マルチバースに再編成されたはずのDCユニバースの様々な過去の世界がじつはある悪役によって保存されており、その封印された過去の世界が現行のマルチバースと再融合することで世界が再編される。
[37] 同様に特定期間の「ユニバース」内のコミックブックタイトルを総称する「イニシアチブ名」の導入はマーベルコミックスでもおこなわれている。2006年のクロスオーバー“Civil War”後に“Civil War: The Initiative”が限定的に使われたのを皮切りに、2008年のフルスケール・クロスオーバー・イベント“Secret Invasion”終結後の世界観を象徴するかたちで“Dark Reign”が以降一年間に渡って「イニシアチブ名」になり、2010年の“Heroic Age”からはストーリーの区切りごとにイニシアチブ名がつけられることが常態化した。
