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ベルリン狩猟日記 /千木良悠子
風邪|冬の沼|ベルリンのお寿司/夜景
2018.11.01-11.15

ベルリン狩猟日記 / 千木良悠子

風邪

11/1(木)
起きたら喉が痛かった。東京に比べて、ベルリンは寒い上に、ものすごく乾燥している。語学学校の放課後に、風邪に効くハーブティーを買った。ちょうどこの前日に「Erkältung(風邪)」という単語を習ったので、ドラッグストアの棚に大量に並んでいるハーブティーの中から、風邪用の物をすぐ選ぶことができた。学校に行ってて良かった、知識の有り難みをしみじみ感じる。

昼食にパスタを食べた後、この日記の原稿を書いていたら、背中に悪寒が。だんだん体を動かすのがしんどくなってくる。根性で宿題を終わらせ、とりあえず何か食べて寝ようと思ったが、買物に行かないと食材がない――いや、近藤友紀子さん愛助くん夫婦にもらった、日本土産の鱒の缶詰があるじゃないか。ご飯を炊き、鱒缶をジャガイモと生姜と一緒に煮て夕食にする。味噌汁に入れた、美味しい麹味噌も、近藤夫婦に貰ったものだ。ベルリンに来たてのとき、彼らに出会えなかったらどうなっていたことか。家に体温計がないので分からないが、たぶん少し発熱していたと思う。風呂に入らないで寝た。

11/2(金)
きたら熱は下がっていた。学校に行く。放課後にスーパーで食材を買い、卵と鶏ササミの粥を作って食べた。

夜、迷ったけれど、芝居を見に行く。ベルリン文学コロキウムのインガから「もし興味があったらSchaubühne劇場の演出家Milo Rauのドラマトゥルクを紹介しましょうか?」と提案されていた。Schaubühneなら家から近い。会う可能性があるなら、作品を観ていおいたほうが良いだろうと思い、分厚いセーターを着込んで、Milo Rau演出の« Mitleid. Die Geschichte des Maschinengewehrs »という演劇を観に行った。

相変わらずドイツ語の台詞は全然分からないわけだが、それでも面白かった。劇場に入ると、舞台上にはゴミの山。やがてブルンジのフツ族出身だという女優が登場し、その顔がスクリーンに大写しになる。「私は子どもの頃ベルギーに移って、そこで養子として育ったから、夢だった舞台女優にもなれた」と語る彼女。どうやらルワンダ紛争に関係ある芝居のようだ。

やがて青いワンピース姿の白人の女優が現れ、ゴミ溜めの中で膨大な台詞をまくしたてる。彼女は演劇の役柄ではなく、彼女自身として舞台に立ち、観客に直接語りかけているように見える。「ルワンダ紛争になんか興味ないですか? 家に帰って早くヨガをしたいですか?」なんてことを(どうやら)観客に、問いかけたりしているみたい。台詞の中に、「ラース・フォン・トリアー監督の映画『ドッグヴィル』」という言葉が混じる。私の好きな映画だ。女優は大きな銃を手に持ち、銃口を観客に向けるが、その姿はニコール・キッドマン演じる『ドッグヴィル』の主人公が、ラストシーンでマフィアの父親に街を焼き払わせた姿と被る。女優は舞台前方に歩いてきて、立ったままごみ溜めの中に放尿する。衣装に細工がしてあるのかもしれない。こういった一連の台詞や動作が特にセンセーショナルでもなく、淡々と続いて行く。日本にこんなにフィクションの要素を削り取った演劇ってあるだろうか? ドイツ語が分からないなりに、この芝居は、西欧社会がアフリカの問題に向き合えていないことを警告しているんじゃないかと想像した。でもそんな若手女性演出による、政治的でアンチ・ドラマの演劇なのに、客席は満員。あまり日本と比べても仕方ないが、日本でこんな演劇がウケるところって、全然想像できない。

この芝居のドラマトゥルクの女性に会った方が良いのか一瞬悩んだが、勉強不足すぎて迷惑になりそうな気も。何より喉が痛くて芝居中ずっと咳を抑えていた状態だったので、足早に帰宅した。

11月3日(土)
うやく週末。なるべく多く寝て、風邪を治そうとしたが、人間急にそんなにたくさん眠れるものでもないのね。歩いて15分ぐらいのアジアンマーケットまで行って、米を二箱買った。翌日に田中奈緒子さんと「餃子パーティー」をする約束もしていたので、餃子の皮も購入。あとは、ドラッグストアで日本でも人気だというFashy社の湯たんぽを買った。Rossmanとdmというドラッグストアチェーンが至る所にあって、コスメから日用品まで色々買えるのだ。もう絶対風邪は引きたくない。

11/4(日)
まった洗濯をする。洗濯機が家の外の地下室にあるので、洗濯物を抱えて四階まで階段で行き来しなければならないのが、少々不便だ。寒い雪の日の夜なんかに洗濯する羽目にならないように気をつけなくちゃ。

田中奈緒子さんが家に遊びにきて、二人で餃子を包んで焼いた。こちらのスーパーで売っていた「バターナッツ」という西洋カボチャを焼いたが、日本のカボチャより水分が多くて、どうも上手に料理できない。

奈緒子さんに「バスタブに湯を溜めて入りたいけど、まだやってみたことがない」と打ち明けたら「日本人は毎日お風呂入っていいよ! 体温めて行こう! 私は毎日入っている!」と喝破される。「西洋人はシャワーだけでお風呂を済ますのが普通で、特に夜中に水音を立てると他の家に響く」とか「湯水を使いすぎるのは光熱費がかかるし、環境にも良くない」とか、ベルリンに来てからよく人から聞かされたから、風呂に入ることに罪悪感があった。しかし、奈緒子さんの一言で迷いが断ち切れ、それ以来、毎日バスタブに入浴剤を入れて、必ず風呂に入る、風呂中毒者になってしまった。

 

冬の沼

11/5(月)
校に行く。帰宅後、家から歩いて15分ほどの喫茶店へ。鳥山明日香さんという大学院生とケーキを食べながらお茶を飲む。彼女はベルリン自由大学に留学中で、専門はドイツ映画、なんとファスビンダーで論文を書いているとのことで、人から紹介されて会うことになった。話が弾んで、1月にはベルリンから車で三時間の所にある街、ゲッティンゲンで上演される、ファスビンダーの演劇を見に行くことに。鳥山さんは独文科の院生なので、ドイツ語はばっちり。20歳近く年下だが、語学学校の宿題を教えてもらった。

夜、クリストフの家にお招きを受ける。クリストフの家の隣は、ドイツで金賞を貰ったことがある有名な肉屋で、そこの名物の「豚の血の入りソーセージ」をジャガイモや林檎と一緒にソテーした料理をご馳走になった。マヤちゃんお手製の、ポーランドのミルクプリンにプラムソースを掛けたデザートも食べた。しかし、やはり体調が思わしくないのか、そのうち胃が痛くなり、最後に「胃痛に効くハーブティ」をマヤに淹れてもらった。飲んだらぴたりと胃痛が収まったので驚く。

11/6(火)
の痛みが悪化。学校の授業中、しいんと静かになった瞬間に限って、咳が止まらなくなる。どんな病気もハーブティで治そうとするドイツ人に倣って、喉に効くお茶を薬局で買う。お粥作ったりネット見たりしていたら、一日が終わってしまった。アメリカの中間選挙がどうなるか気になる。

11/7(水)
校に行く。明らかに授業についていけてない。先生の話がちっとも聞き取れないし、会話にも文章にも分からない単語が多すぎる。帰ってきて宿題をしたら、もう一日が終わってしまう。

11/8(木)
校に行く。同じクラスの、チリ出身のカミーラという女の子が話しかけてきてくれた。こちらでドイツ人男性と結婚するそうで、この週末にドイツの「城」で結婚式を挙げるらしい。ヨーロッパの結婚式って本物の城でやっちゃうんだなあ。喉の痛みが一向に良くならず、薬局で喉に直接噴射するスプレーの薬を買う。

11/9(金)
校に行く。風邪のせいもあって、学校以外であんまり人に会っていないけれど、別に困りはしていない。のど飴舐めたり、レモネード作って飲んだりしている。

11/10(土)
の目の前で水曜と土曜に市場をやっている。野菜や果物や花や卵が買える。この日は、蜜柑に梨にルッコラ、安い花束を買った。家に花瓶がなかったのだが、この数日前、「花瓶欲しいなあ」と思いながら歩いていたら、道で拾った。たまに引越をする人が、譲りたい品物を段ボールに入れて舗道の隅に置いているのだ。

体調もそう悪くないように思えたので、Sバーンに乗ってティーアガルテンに行く。週末は駅のすぐ傍で「6月17日通りの蚤の市」が開催されている。ぼんやり眺めながら歩いて、古着の露店で暖かそうなセーターを買った。この先もっと寒くなるのだろうし、きっと必要だろう。ティーアガルテンを少し散歩。夏に来たときに見て気に入っていた沼の水面を、落葉が覆っている。色鮮やかではっとするほど美しいけれど、寒いので長くは眺めていられない。

帰り道に寄った、動物園駅の中にある本屋で、ずっと雑誌を見ていた。最近、学校の勉強以外では、体調のこと、毎日の食べ物のこと、ハーブティーや薬(どんな種類があるか、いちいちネットで調べるから時間がかかる)、あとは風呂に何の入浴剤を入れるかばかり考えている。全然芸術に触れていなかったけれど、ちょっと本屋で雑誌をめくれば刺激的なアートの記事が溢れてる。いつまでベルリンにいられるか分からないのに、体調を崩したりしては時間が勿体ないと焦る。

この日は夜にノイケルンで内橋和久さんのライブがあって、見に行くことができた。会場は、Sowiesoというライブハウス。

早く着きすぎてしまったので、何か食べようとケバブ屋に入ったら、そのケバブ屋は新装開店したばかりでケバブ2€の激安セールをやっていて、ものすごい行列ができていた。並んで待っていると、後ろに並んでいた男性に「ちょっと用事を済ましてくるから、友達のフリをして、順番をキープしておいてくれ」と頼まれた。それってありなの? ちょっとズルい気もしたけど、キープしてあげたら、戻ってきた後で、店員にドイツ語でケバブを注文してくれたり、お茶は無料だと教えてくれたりした。

その日のライブは、内橋さんと、齊藤易子さん、Frank Gratkowskiさんの三人のセッション。ビブラフォンやダクソフォンの響きが心地よかった。ドイツ語学校や日々の雑事でとっ散らかった頭の中が整理されて行くようで、心安らぐ。風邪をひいて喉が痛いと内橋華英さんに話したら、ライブハウスのマスターに温かいお茶はあるか尋ねてくれた。風邪に効くという真っ赤なハーブティーを淹れてもらって飲む。ドイツ人って本当にあらゆる病気を茶で治そうとする!

帰宅後、夜が更けるにつれて咳の回数が増えていく。慣れない環境のせいか、ずいぶんと治りが遅い。

11/11(日)
10月に住んでいたミッテの家に、鍵を返しに行く。家主の方から、日本のお土産としてレトロなスナック菓子の入った袋をいただいた。

夜、スイス人のミュージシャン、Thomas Jekerと会ってお茶をする。彼とは5、6年ほど前だったか、東京で行われた演劇関係のシンポジウムで出会った。ほとんどSNSだけの繋がりだったように思うけど、なんとなくメールのやり取りがあって、今回仕事でベルリンに来るというので、会うことになった。

Thomasが私の家の近所まで来てくれたので、Schwarzes Cafeという老舗のカフェ兼レストランに行く。ここはベルリンでは大変珍しく、24時間営業をしていることで有名だ。入口は狭いが、二階に上がると広い空間はいつも客で賑わっている。アルトバウを活用した高い天井には、天使や花のレリーフ。壁にはトレードマークの鸚鵡の絵が架かっている。Thomasは、スイスの山間に住んでいるのだが、今回ベルリンの「Theater der Dinge」という人形劇フェスティバルに招聘されたスイスの劇団の演劇で、ライブ演奏をするために来たのだという。物腰柔らかでジェントルな人で、私がベルリンでの暮らしぶりや今までの創作活動について、尋ねられるままに下手な英語で語るのを、にこやかに、そして注意深く聞いてくれた。「もし来れるようなら、演劇に招待するよ」とも言う。ぜひ行きたいとお願いした。

 

ベルリンのお寿司/夜景

11/12(月)
うすぐ日本に帰るという南加絵さんが、最後に遊びに来た。世話になったお礼にと、家の床にタオルを敷いて、オイルマッサージをしてくれた。

夜、プレンツラウアーベルクのお寿司屋「Sasaya」で内橋花音ちゃんの誕生日会。ベルリンで美味しいお寿司を食べたかったらここ、という店らしい。友紀子さんも昔働いていたとか。
この機会にベルリンの寿司について思う所を書くと、SUSHIは、こちらで想像以上に人気がある料理のようで、日本に関する知識のあるなしに関わらず、皆んなSUSHIを食べている。どこのスーパーでもパックの寿司が売っているし、街中の至る所にSUSHIレストランがある。でも、お米が冷たくて固かったりするし、ネタもサーモンと冷凍エビくらいしかなくて、美味しいのに当たることは少ない。米の周りに衣を絡ませて揚げてあったり、カリフォルニアロールを野菜と一緒に皿に盛って、全体に甘い照り焼きのタレをかけたような、フュージョンSUSHIも見かけた。ベルリンは内陸の街だから、ネタの種類が少ないのは仕方ないし、外国の人が気に入って食べているのを、いくら日本人だからといって本物か贋物かとジャッジするのは下品だと思う。それでも、以前ベルリンのモダンでお洒落な内装のフュージョンSUSHIレストランで行ったとき、日本じゃないアジア出身らしき板前さんに「味はどうですか?」と聞かれ、「Good!」と笑顔で言ったものの、内心「これは寿司じゃねーーーーー!(卓袱台ひっくり返しつつ)」と叫び出しそうになってしまった。周りでSUSHIに舌鼓を打つ超満員のお客一人一人を日本に連れて行き、江戸前寿司を口に無理やり詰め込んで違いを教えたくなった。だが、それは背筋がぞっとする暴力以外の何者でもない。

日本LOVEの気持ちが薄い私も、食べ物のこととなると俄然黙ってはいられなくなる。このへんにナショナリズムを巡る諸問題の大事な鍵が隠されている気がする。

多様性は重要、とお題目を唱えながらも、実際はフュージョン寿司ですら否定したくなる私のなんという偏狭さ、頑迷さ。インド人が日本のカレーライスを否定したことがあるか? パリでは日本人シェフのフレンチレストランが、ミシュランの星を貰ったりしてるのに。

2016年に初めてベルリンに来たとき、エレナが面白いことを言っていた。「なぜ日本の寿司職人には女性が少ないの?」「手が温かいから、とか言うけどねえ」「まさか(冷笑)、それは『サベツ』でしょう? それから、なぜタイ人やベトナム人がお寿司を握っていると日本人は笑うの?」。「差別」とはっきり言われると、それ以外に答えはないように思えた。エレナに言われるまで、私も女性や外国人を寿司職人のイメージから訳もなく除外していて、しかも気づかなかったのだから、差別は対岸の火事ではない。

Sasayaのお寿司は本当に美味しかった。ベルリンでどうやって手に入れるのだろうと不思議に思うほど、様々な海産物の載ったお寿司が、ご主人の手焼きの器に並んでいるのは壮観だった。美味しい日本酒も飲めて本当に幸せだったけれど、もう半年近くこちらに居るのにハムもソーセージも大して食べないで、寿司に涙目で喜んでいる自分がちょっと情けない。

11/13(火)
前中は学校。夜、Thomasが音楽を手がけた人形劇を見に行く。人形劇ばかりのフェスティバル、というのが存在するのが面白い。余裕を持って向かったつもりが、同じフェスを行っている別の会場に行ってしまって、大慌てする。ようやくアレキサンダー広場近くの劇場に到着、受付で「会場を間違えた人が多いので、開演を遅らせています」と言われてズッコケた。

演目は、Infinite Cooperationというチューリヒのコレクティブによる、« A CHRONICLE OF THE FUTURE »。まず舞台端に、等身大の女性の人形と人形使いが登場する。暗い舞台上で細やかに動く人形の存在感に魅せられた。そこに主演女優が登場。彼女はチェルノブイリ事故の起きた日に生まれたそうで、ノーベル文学賞を受賞した作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチのチェルノブイリに関するテキストの朗読を挟みながら、大量の台詞を喋って独演する。ただしドイツ語なのでやはり台詞の意味は全然分からない。Thomasは舞台上手に出ずっぱりで、その日はバンジョーなどを使用して演奏をしていた。

終演後に、Thomasに招待してもらった礼を言う。私が観劇に来たことを大変喜んで、女優やプロデューサーに紹介してくれた。ユウコは日本の演出家だ、と紹介されるとくすぐったい。今はただの、語学学校の落ちこぼれ生徒である。人形の写真を撮らせてもらう。周りの人の言葉が分からない今の私には、人形の無言劇がいちばん心に響く。人形には人間の言葉が分かるだろうか、音は聞こえるのだろうか。

11/14(水)
校。夕方、もう4ヶ月も髪を切っていなかったので、美容院に行った。ベルリン在住日本人の友達が「ドイツ人美容師に切ってもらって失敗した。日本人の髪の毛は切りにくいらしい」というエピソードを散々話すのを聞いていたので、プレンツラウアーベルクにある日本人オーナーの美容室を予約して行った。ベルリン在住20年の美容師の方と「やっぱり毎日米を食べなくてはやっていられない。ソーセージを挟んだパンやパスタを夕ご飯にはできない」という切ない話で意気投合。

そのあと「ドイツ座」という劇場で、著名な演出家、ルネ・ポレシュの芝居« Cry Baby »を見に行ってみた。ドイツ座に行くのは初めて。劇場自体はそこまで大きくないが、見上げれば天井には美しい絵が描かれ、壮麗なシャンデリアがきらめいている。客の年齢層はやや高め。

幕が開いた途端に、富裕な家庭のベッドの上にどんどん折り重なっていく10人ぐらいの若い女の子のよく整理された動きに見蕩れた。膨大なドイツ語台詞で有名な作家らしいから、やっぱり会話の内容は全然分からないのだが、見ているうちに、現代のブルジョワ家庭に属していることって本当につまらなくて、虚しいことなんだろうなあという感想が浮かんで来た。女主人は大勢の女の子たちに何度もライフルを向けられるが、結局銃声が響くことはない。

終幕で「Cry Baby」という英語のポップスが流れる中、水鉄砲の涙をピュッピュと飛ばして泣いている女の子たちを見てたら、なんだか私も泣けてきた。先日のフォルクスビューネの芝居« Three billion sisters »の時も思ったが、中学・高校と女子校に通っていた私は、男性の目を意識したお洒落をしていない、スネ毛なんか生えていそうなプリプリとただ若いだけの女子集団を見ると、郷愁とシンパシーを感じてしまう。戯曲の内容も分かってないのに、勝手な解釈だけど、若い生命力に満ち溢れた彼女たちの現在や未来に、今の世の中、大人たちはちっとも興味ない。泣きたくなっちゃうよねえ。

ドイツ座を出た帰り道、Googleマップを片手に「ドイツ中央駅」まで歩いていたら、突然シュプレー川沿いの通りに出た。空が開け、夜景が煌めいている。すぐ近くに中央駅の明かりが見える。車道に線上に煉瓦が埋められていて、「これは壁の跡です」という看板が立っていた。自分がベルリンにいることが、突然嬉しく感じられた。

11/15(木)
校。風邪は治ってきたけれど、今度は胃腸の調子が良くないみたい。腸のあたりから謎の音声がしょっちゅう聞こえる。腸内環境の改善に豆が良いとネットで見たので、BIOスーパーで買ってきて、8時間水に浸けてから茹でた。ほくほくして美味しい。ドイツ語の勉強をして、ひよこ豆を茹でていたら一日が終わってしまったなんて、他人には優雅に聞こえるかもしれないが、これが今の精一杯なのだった。

<編集Tの気になる狩場>

【映画】
*特集上映
蓮實重彦セレクション ハリウッド映画史講義
2018年12月15日(土)~ 2019年1月11日(金)
http://www.cinemavera.com/schedule.php
会場:シネマヴェーラ渋谷

見逃した映画特集 Five Years
2018年12月14日(金)~2019月1月25日(金)
https://joji.uplink.co.jp/tag/minogashita
会場:アップリンク吉祥寺

*封切作品
12/29公開
『アタラント号』(4Kレストア版)ジャン・ヴィゴ監督 http://www.ivc-tokyo.co.jp/vigo/

1/12公開
『マチルド、翼を広げ』ノエミ・ルヴォフスキ監督 http://www.senlis.co.jp/mathilde-tsubasa/
『ひかりの歌』杉田協士監督 http://hikarinouta.jp/

公開中
『アリー スター誕生』ブラッドリー・クーパー監督 http://wwws.warnerbros.co.jp/starisborn/
『ディア・ハンター 4K』マイケル・チミノ監督 http://cinemakadokawa.jp/deerhunter/
『来る』中島哲也監督 http://kuru-movie.jp/

【美術等展示】
建築 × 写真 ここのみに在る光
2018年11月10日(土)~2019年1月27日(日)
会場:東京都写真美術館
http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3108.html

終わりのむこうへ : 廃墟の美術史
2018年12月8日(土)~2019年1月31日(木)
会場:渋谷区立松濤美術館
http://www.shoto-museum.jp/exhibitions/181haikyo/

【書籍】
檜垣立哉、小泉義之、合田正人゠編『ドゥルーズの21世紀』(河出書房新社) http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309248967/
ドン・デリーロ゠著『ポイント・オメガ 《フィクションの楽しみ》』(都甲幸治訳、水声社) http://www.suiseisha.net/blog/?p=10087
フランチェス・コロンナ゠著『ヒュプネロートマキア・ポリフィリ――全訳・ポリフィルス狂恋夢』(大橋喜之訳、八坂書房)  http://www.yasakashobo.co.jp/books/detail.php?recordID=705